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それ、見られてるかも!? 塾人が注意すべき6つの行動

著者の紹介

安多 秀司 (やすた・ひでし)

株式会社リアル・パートナーズ、株式会社個別教育フォレスト

ゴールフリー、スタンダードカンパニーを経て独立。個別教育フォレストを開校。個別指導歴17年。自塾を運営する傍ら、全国各地で個別指導塾の経営コンサルティングやセミナー登壇などにも精力的に取り組んでいる。

 

学習塾は、地域ビジネスです。その地域、その町に根差して、そこに暮らす人たちを対象に商売をさせてもらっているのが基本の形ですよね。言ってみれば「町の八百屋さん」「町の魚屋さん」と変わりません。生徒さん、保護者さん、さらに卒業生やその保護者さんまで、私たちの顔と名前を知っている人が、周囲にたくさん住んでいらっしゃるということです。

ちょっと教室の近所を歩いているだけでも、(私たちは気付いていなくても)道の向こうで保護者さんが「あっ、○○先生だわ」と気付いておられることもよくあるでしょう。例えとしては不適切かもしれませんが、もしそのとき、思いっきり鼻をほじっていたらどうでしょう。まあ人間ですから、鼻をほじりたくなるときくらいあるでしょうが(笑)、公の場で見せて良い姿でもありませんよね。それならまだしも、ちょっとした気の緩みから、塾の信用に関わるような姿を見せていたら……

「いつ、どこで、誰が見ているか分からない」――学習塾で働く人間は、プライベートも含めてそのあたりを常に意識しておく必要があります。

塾の先生は「見られている」!

今回は、特に教室外での注意したい、6つの行動についてお伝えしてみたいと思います。あなただけではなく、社員さんや講師の方も含めて、全社的に意識するようにしてみてください。

<注意すべき6つの行動>

  1. 交通ルールを守る
  2. 大声で電話しない
  3. タバコは控える
  4. 休日も身だしなみには気を付けて
  5. 居酒屋で仕事の話はNG
  6. お店の人には親切に

塾人が注意すべき6つの行動

【1】交通ルールを守る

例えば、赤信号だけど車が来ていないので道路を横断するとか。急いでいて、少し車を飛ばしてしまうとか。いずれも「つい」やってしまうレベルの交通違反です。でも、そんな姿を生徒さんや保護者さんが見ていたらどうでしょう。

彼らからしてみると「宿題をやってきなさい」「ルールは守りなさい」なんて、どの口が言うのかって話になってしまいますよね。そういうダブルスタンダードで言動不一致な姿勢は、特に子どもたちには強い反感を与えます。「信用できない大人」のリスト入りです。

そんな「信用できない大人」から、道徳的なことを諭されたり、厳しい指導をされたりしても、子どもたちの心には響きません。面談で保護者さんにもっともらしいことを言っても、信用してもらえないかもしれません。

人に「指導」をする立場にある人間が、そういうことではいけないですよね。逆に、こういうことがちゃんとできる姿を見られていると、「ああ、きちんとした先生なんだな」と分かっていただけます。なにも聖人である必要はないと思いますが、まがりなりにも、自分は「先生」と呼ばれる立場であることをいま一度思い出し、守るべき―ルールは守る姿を示しましょう!

【2】大声で電話しない

教室は「オフィシャルな自分」であると意識して、丁寧な言葉遣いや態度を意識している先生は多いでしょう。でも、そんな先生が外に出た瞬間、携帯電話で大声で話していたり、下品な言葉遣いで話していたりする姿を見られたらどうでしょう。

友人や家族と話すときは「プライベートな自分」になるのは仕方ありません。でも、少なくともその姿は、教室の近くでは見せないほうがいいということですね。それを見かけた生徒さんや保護者さんは、あなたが誰と何の話をしているのかまで分からないのですから。

電話に限った話ではありませんが、こんな経験はないですか?何かのお店で、お客である自分に丁寧な言葉遣いで接してくれていたのに、その用件が終わるや否や、まだこちらが声の聴こえる範囲にいるにも関わらず、隣のスタッフと「そんでさ、おまえさあ~」なんてバカ話を始めるとか。あんまりいい気はしませんよね。

特に通話中は、つい会話に意識が行って、周囲への注意力が散漫になります。生徒さんや保護者さんが近くにいるのに付かないこともあるかもしれません。「素」の自分を出して大声でしゃべるのは、自宅に帰ってからにしましょう!

【3】タバコは控える

吸うなとまでは言えませんが、やはり教室の近くではやめたほうがいいですね。近所の喫茶店などでも、できれば避けたほうが無難です。もちろん、歩きたばこやポイ捨ては言語道断です。

最近は喫煙マナーを意識する風潮が社会全体に広がっていますから、さすがにもうしてないとは思いますが、以前にこんな光景を目にしたことがあります。塾ではなく、ある私立中高の近くを通りかかったときのことです。

校内での喫煙が禁止されているのか、数名の先生方が校外に出てきて、そのへんでプカプカやってるんですよ。喫煙行為そのものは嗜好の問題ですから責められせんが、さすがにそこで吸ってはダメでしょうよと。しかも、首から下げたネームプレートを隠すこともなく……。「私はこの学校の教員ですよ」ということを周囲に告知しながら、道端で喫煙しているわけですからね。こちらは塾の人間なので、「ああ、あの学校の先生はこの意識レベルか」と思ってしまいますし、自信を持って生徒に受験を勧めることもできなくなってしまいます。

これを保護者さんと塾に置き換えても、同じことが言えますよね。気をつけたいところです。

【4】休日も身だしなみには気を付けて

休日の身だしなみにも、多少は気を配ってください。出勤するときと同じようにパリッと決める必要はありませんが、さすがにボサボサの髪、よれよれのジャージ、毛玉だらけのスエット、醤油のしみがついたままのTシャツ、不精ヒゲなどで近所のコンビニやスーパーにいくのは避けましょう。

これも以前にある塾の先生に聞いた話ですが、そういうだらしない格好でコンビニに行ったら卒業生がバイトをしていて、思いっきり笑われたことがあったそうです。

まあ笑われるくらいで済めばいいかもしれませんが、内心では嫌悪感を抱いている可能性も否定できません。年頃の女の子は特に「不潔感」に対しては敏感です。そんな悪い印象やうわさが、卒業生から地域に広まることだってあります。クチコミって、良くも悪くもそういうものですしね。

外出するときは、最低限の身だしなみは整えておきましょう。

【5】居酒屋で仕事の話はNG

これはかなり危険です。でも、この手の「やらかし」は本当によく聞きますよ!

私も経験があります。知人と近所の居酒屋で飲んでいたとき、後ろの席にいた4人組のグループが大声でしゃべっていました。酔っぱらって気分が良くなっているのか声も大きくなり、自然とその会話がこちらにも聞こえてきます。話の内容から察するに、どうも大手個別指導塾の社員さんのようです。

しかもその話の内容というのが、生徒さんや保護者さんの悪口や、仕事の愚痴の大売り出し!聞いているこっちが「おいおい、そのくらいにしといたほうがいいのでは……」と感じてしまうほどでした。

いや、分かりますよ?仕事は楽しいことばかりではありません。酒を飲んで憂さを晴らしたいことも、つい愚痴や悪口を言いたくなる時もあるでしょう。でも、さすがにここでやっちゃダメ!!生徒の保護者さんだって、夜は飲みに行くことだってあります。先ほどのコンビニと同様、卒業生がバイトをしている場合もあります。これは本当にNGです。

お酒は正常な判断力を失わせます。そういう意味では、愚痴や悪口だけでなく、業務に関することを話すのもできれば避けたほうが無難だと思います。守秘義務的な内容を、つい大きな声でしゃべってしまっては、誰の耳に入るか分かりません。やはりお酒は楽しく、他愛もない明るい話題でいきましょう!

【6】お店の人には親切に

私たちがお客の立場であるときを創造してください。例えば、お店の応対が悪かったり、店員さんの接客が失礼だったりして、ムカッとくることってありませんか?「プロ意識の低さ」とでも言うのでしょうか、私はこういうお店や店員さんについイライラしてしまうタイプで、個人的には特に気を付けている要素です。

いくら向こうに非があっても、激高して大きな声を出してはいけません。どうしてもクレームを入れたい場合は、落ち着いて静かに淡々と、目立たないようにやるべきです。他の項目にも言えることですが、もしその姿を生徒さんや保護者さんに見られていたらどうでしょう。彼らは、あなたに正当性があるかどうかなど分からないのです。ただ「大声でブチ切れている先生」としてしか映りません。

また、「お客様は神様だ」とばかりに店員さんに横柄な態度を取るのもダメですよ。その店員さんは、自塾生徒さんの関係者かもしれないのですから。それに私たちだって、モンスターカスタマーのような保護者さんに初めから高圧的な態度でこられたら、いい気はしませんよね。普通に、人として良くない態度だと思います。

こちらが誰かバレなければいいと思われるかもしれませんが、例えばコンビニで電気代や水道代を払っているとすれば、あなたが何者かはすぐ分かります。気を付けてください。

「見られているから」しないのではなく

いかがでしょうか?これはすなわち、危機管理なんです。当たり前の6項目ですが、意外にドキッとされたこともあったのではないでしょうか。

しかし、「見られたら困るからやってはダメ」なのではありません。それでは、小さな子どもが「怒られるからいい子にする」と言っているのと同じレベルですよね。そもそも「塾の先生」として、「人」として襟を正すべきものばかりです。

お互い、意識を高く持っていきましょう!