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講師研修会(勉強会)の参加率、どうすれば上がる?

著者の紹介

安多 秀司 (やすた・ひでし)

株式会社リアル・パートナーズ、株式会社個別教育フォレスト

ゴールフリー、スタンダードカンパニーを経て独立。個別教育フォレストを開校。個別指導歴17年。自塾を運営する傍ら、全国各地で個別指導塾の経営コンサルティングやセミナー登壇などにも精力的に取り組んでいる。

参加率90%の秘訣

 弊塾では年に3回、講師研修会を行っています。入会者・退会者の情報や講習会での指導の進め方を共有したり、講師同士で模擬授業を行ったり、何らかのテーマを決めてグループワークを行ったり。

 同じような研修会や勉強会を実施しておられる塾長さんも多いと思いますが、一方でこんな声も。
「せっかく開催しているのに学生講師の参加率が低くて……」という悩みです。

 通常授業がある平日の開催は難しいですから、必然的に土日を利用することになるぶん、講師の皆さんも足が遠のきがちなのかもしれません。こちらとしても、本来は休日であるときに、無理やり研修に参加させることははばかられます。

ただ弊塾では、年間の開催回数こそそんなに頻繁ではないものの、講師の参加率は毎回90%前後で推移しています。なかなか100%にならないのが残念なところですが、それでも数値的にはまだ高いほうではないでしょうか。

 もちろん、講師のみんなが業務に前向きで積極的でいてくれるからというのも理由の一つでしょうが、こちら側の行動として、「参加したくなるような仕掛け」を施していることもポイントだと思います。

 例えば「就活に関する講演や講座」を研修会に組み込んでいることもそのひとつ。

 学生講師からすると、就活は避けては通れない関門です。そこで弊塾では、福利厚生の一環として、就活サポートとしての講演会や講座を研修会で同時開催しています。講師からしても「バイト先で、就活のヒントがもらえるのはありがたい」と思ってくれているようで、実際にそういうレスポンスも多いです。努力が実って第一志望の会社に就職できた講師も多数おり、少しはそこに貢献できたのかと思うとやりがいもあります。

 ぜひ、みなさんにもこうした「就活サポート」を研修内に盛り込むことをお勧めしたいです。

講師研修会に参加したくなるゲストの面々

 ちなみに弊塾の就活講習では、過去にこういった方々を講師としてお招きしました。

<サントリーで人事にも携わった、株式会社ZESTの林大輔代表>
 明光義塾を7教室運営されていた元フランチャイズオーナーさんです。
サントリー社で営業や人事に携わっておられた強みを活かし、塾経営でも大成功を収められました。

 そのご経験から
「就活のポイント」「面接のポイント」
「学生時代に意識しておけばいいこと」
「塾のバイト業務で、社会人スキルを身につける方法」
といった内容のお話をしていただきました。模擬面接の面接官役を務めていただいたこともあります。

 弊塾ではこの3年ですでに5回ほど講演をしていただきましたが、参加する講師の構成や時期に応じて内容もアレンジしてくださり、講師からも非常に感謝されています。

 ちなみに林代表は、現在経営されているZEST社の業務の一環として、全国各地で「超・就活セミナー」という講演をされています。単なるノウハウのレクチャーではなく、塾経営畑のご出身ならではの「塾で働くことが社会に出てどのように活かせるか」といったメリットも存分にお話しいただけるので、講師の業務に対するモチベーションアップにもなり、一石二鳥なのです。


<ANAの元CAさん>
 ANAの元CAさんにも3回お越しいただきました。テーマは「マナー研修」と「第一印象研修」です。例えば名刺の渡し方から、挨拶の仕方、おじぎの角度まで、プロ中のプロともいえるCAさんに指導していただきました。

 第一印象をよくするための口角を上げる練習、発声練習などなど……「すぐに使える」情報満載で、これまた講師たちにも好評です。

 一般的なマナー講師の方にお願いするのもアリでしょうが、あえてCAさんに依頼しているのは私の個人的な趣味……いや(笑)、「ANAのCAさんから教えてもらった」という貴重な経験が、(研修会に対する)ブランド価値になると考えたからです。


<弊塾で働き、社会で活躍している元講師>
 弊塾で3〜4年間働いてくれた講師が、社会人となり活躍しています。
林氏のような経営者さんや、CAさんのような「すごい人」にレクチャーいただくのも良いのですが、ときにはできるだけ学生講師たちに立場や視点が近い人から話してもらうのも効果的です。親でも先生でも友達でもない、「ナナメの関係」ってやつですね。

 元講師に話してもらう内容としては
「今の仕事内容や働き方」
「自身が講師時代に意識して取り組んでいたこと」
「就活でのポイント」
「弊塾(フォレスト)で働くメリット」
などですが、こちらも講師たちからは「リアルな声が聞けた」と絶賛の嵐でした。

 元講師が話す内容ですから、親近感がわかないはずがありません。この人選も非常に良かったと自画自賛しています(笑)。

講師が進んで参加したくなる研修会に

いかがでしょうか?

 これはあくまで弊塾の事例であって、別に講演会でなくても、もっといえば就活に関連する情報でなくても良いのです。講師にとって役立つ何かを提供することができれば、研修会への参加優先順位は飛躍的にアップします。逆を言えば、講師研修会の参加率が低いのは、「講師研修会に参加するメリットが感じられないから」です。

 講師が自分にとって重要だと判断すれば、週末であろうと他に予定があろうと、なんとか参加しようとしてくれますものね。


 講師研修は、広い視点で捉えればもちろん「教室のため」なのですが、「目の前の講師のため」という気持ちで臨めば、おのずと良い企画も生まれてくるはず。自分(自塾)のためではなく、講師のため、そして生徒のため。

 研修会に限らず、こうした意識が結局は繁盛する教室を生み出すのではないかと思います。