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入会面談で勝負を決めるのは何!?【vol.2】

著者の紹介

安多 秀司 (やすた・ひでし)

株式会社リアル・パートナーズ、株式会社個別教育フォレスト

ゴールフリー、スタンダードカンパニーを経て独立。個別教育フォレストを開校。個別指導歴17年。自塾を運営する傍ら、全国各地で個別指導塾の経営コンサルティングやセミナー登壇などにも精力的に取り組んでいる。

入会面談の成果を上げる要素は、訓練で取得できる。

前回の記事で、入会面談の肝となるのは「人」であること。加えてそのためには以下の要素を伸ばすことが必要だと述べました。

  1. コミュニケーション力がある
  2. 丁寧な面談をする
  3. 聴く力がある
  4. 共感する力がある
  5. 「目の前の生徒さんをどうにかしたい」という想いが保護者さんや生徒さんに伝わる

それでは、こうした「当たり前だけど大切な力」について、アドバイスをふまえて解説してみます。入会率に課題や不安のある方は、ぜひヒントになさってみてください!

 

コミュニケーション力がある

もはや説明不要の項目かもしれませんが、意外と「コミュニケーション力」と言われてもピンとこないかもしれません。抽象的で解釈が広くなりますしね。そこで面談という限られたケースに照らして一例を挙げると、キーワードは「笑い」でしょうか。

 

たとえば、面談に来る生徒さんや保護者さんは、基本的に緊張しています。「この塾はいい塾だろうか」「強引に入塾勧誘されないだろうか」「先生は誠実ないい人だろうか」と警戒もしているはずです。その緊張をほぐしていき、彼らと会話のキャッチボールがスムーズにできるようにしましょう。

そもそも、面談は尋問ではありませんし、塾長の講演会でもありません。自らの教育論や塾の理念を熱く伝えたい気持ちもあるかもしれませんが、どれだけいいことを言っていても、いきなりそんなにグイグイ来られては相手も引いてしまいます。ポイントは笑顔にさせることができるかどうかです。あなたの面談で、生徒さんや保護者さんは笑顔になっていますか? 彼らが安心できる、笑いの絶えない面談が理想です。まずはそこです。熱い思いは、入塾後にいくらでも伝える機会はありますよ。

 

丁寧な面談をする

これも当たり前の話ですが、生徒さんや保護者さんは私たちの教室に初めて来るのです。分からないことだらけです。そんな人たちに対して、自塾についてきちんと丁寧な説明ができていますか?

こちらは何十回・何百回と同じ説明をしているので、つい相手も知っている体で説明してしまいがちです。悪気はなく、ついそうなってしまうのです。たとえば「週2コマ」と言われても、一般の方には「コマ」という言葉が何のことか分からなかったりします。自分にとって当たり前すぎることでも、相手にとってはそうではないと自覚しましょう。

また、これもあまり意識していない方が多いのですが、話すスピードも大事です。まくしたてるように話していませんか? 自分で「ちょっとゆっくり話しすぎかな?」と思うぐらいが、相手にとってちょうどいいスピードです。こちらも意識してみてくださいね。一度、ご自身の面談を録音してみるといいですよ。ただし、こっそりやるのはよくないので、社員・講師を相手にロープレしてみて、それを録音するのもアリかもしれません。

これらは、講師(授業を受け持つとき)としても大切な感覚ですね。

いまいちど思い出してください。相手が(勉強を)分からないから、相手のレベルに合わせて分かるように教えるのが個別指導の本来の姿だったはずです。相手を自分に合わさせるのではなく、自分が相手に合わせるのです(なんでもかんでも甘やかせということではありませんが)。授業以前に、入塾説明の時点でそれができないような塾に、きちんとした授業ができると思ってもらえるでしょうか? 注意したいところですね。

 

聴く力がある

先ほども「面談は塾長の講演会ではない」と申しましたが、よくない面談の多くに見られるのが、「こちらがペラペラ話しすぎる」パターンです。そもそも、保護者さんや生徒さんは、勉強について何らかの悩みがあるから塾(の面談)に来ているわけですよね? 彼らは困っているんです。助けてほしいんです。その悩みを、自分の話を、聞いて欲しいのです。もっと言えば、「この塾なら解決できる」と安心させて欲しいのです。

自塾の話をする前に、まずは生徒さんや保護者さんの悩みを真摯に聴くようにしましょう。いわゆる「傾聴」ですね。イメージとしては、「8割聴く、2割話す」ぐらいでちょうどいいです。

悩みやニーズを把握できないまま話したところで、方向性がずれてしまいます。言いたいことと聞きたいことが噛み合ってないというのは、ストレスです。こうなると、相手は(そういうことが聞きたいんじゃないんだよなあ……)(もっとこっちの話を聞いて欲しいなあ……)(話が長いなあ……)と思っている可能性が高いですが、それを口には出してくれません。その場は大人の対応をしてくれますが、あとは黙って他塾さんを選ぶことでしょう。

方向性がずれたまま話をしていると、いかにその説明が正しく分かりやすいものでも、単なる塾の自慢話やセールストークにしか聞こえませんのでご注意を!

 

共感する力がある

これも聴く力に関連しているのですが、「そうなんですね」「なるほど」「それわかります!」と聞いた話に共感できることも非常に大切です。

とにかく良くないのが、ふたこと目にはやたらと逆説を使ったり反論したりすること。誰だって、自分の発言に対していちいち「いや」とか「でも」で返してくる人とは話したくなくなりますよね。

あと、反論しないまでも、相手が何か言うたびに自分の話(自塾の話)に転換して長々と話すのも良くないです。日常でもそういう人、いますよね(笑)。ちょっと「映画を観た」なんて言おうものなら、「そうなの? 私も映画が好きでね。月に2~3回は必ず何か見ます。過去最大の名作だと思うのは……」なんて具合に。

「聴いてもらえている」という感情が安心感を生み出すことを忘れないでください。

 

「目の前の生徒さんをどうにかしたい」という想いが保護者さんや生徒さんに伝わる

ここは少し特殊で、塾長や上司が「目の前の生徒さんをどうにかしたいと思え」と命令したところで、「はい、ではそうします」とはいかないものですよね。これは気持ちや信念の問題ですから、言われてどうこうできる問題ではないですしね。そもそも「目の前の生徒さんをどうにかしたい」と思えない人は塾に向いていないのかもしれませんが、もし後からでも変われるとしたら、以下の要素が大事だと思います。

  • 自分の仕事に誇りを持っているか
  • 給与=月謝であることを自覚しているか
  • 相手のために仕事をしているか
  • 生徒さんをお預かりしている責任を持っているか
  • たくさんある中から自塾を選んでいただいた責任を感じているか

これらを普段から自覚できていれば、それが具体的な態度や言葉になって、面談時の節々に少しずつ表れるはずです。取り繕えるものでも、取り繕うものでもありません。

いかがでしょうか? 面談したのに入会率が悪い・低いという場合、これらのどこかに原因があることが多いです。ぜひ、一度ご自身の面談を振り返ってみてください。先ほど録音の話をしましたが、一番いいのはご自分の面談の様子を録画してみることです。たぶん衝撃を受けますよ(笑)。思った以上に、イメージしていたのと違うものですから。

「生徒さんをどうにかしたい」という想いの部分はともかく、コミュニケーション力や聴く力、共感する力は、訓練すれば改善することができる要素です。ぜひ、意識して自身の能力と人的魅力を高めていきましょう。