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セミナー中でいただいた質問について

【ご質問】

塾の講師をしております。
塾だと、短期間での成果を子どもに求める(親御さんから塾が求められる)ことが往々にしてあります。
定期テストで得点を上げるなど。そのような場合、公式や問題の解き方といった、いわゆる「正解」を覚えさせることに主眼が置かれがちになります。
そのような状況の時、新井先生が仰る熱中力と、どのように絡めて指導ができるでしょうか。

 

 

【回答】
短期間で成果を求められることは塾講師の方々にとって悩ましいことの1つだと思います。
短期間で成果を出すために熱中力を活用できるか考える上で、まずどういう子ども達が対象なのか考えさせてください。

 

仮に中学3年生の親子を想定してみます。
中学3年生になり家庭での学習習慣もない状態で急に受験が自分事になった段階で、
想像以上に受験は厳しいものだと感じて塾へ駆け込んできたよくあるケースです。

中学3年間、学校と塾で予習・復習、授業を繰り返してきた子どもとの決定的な違いは読解力ではないかと思われます。

読解力があれば1つの学習内容において設問の問い方を変えても、条件設定を理解し、問いを条件にあてはめる流れで解答できるでしょう。しかし、読解力がないと解答の仕方を覚えているだけなので、設問の問い方が変わるととたんに解答できなくなると予想されます。

 

読解力がない=成績が上がらない子どもには、まず短期的に記憶力を駆使することが一番成果に結びつくと私も思います。記憶して点数のとれる分野は確実に積み上げ、プラスαの取り組みとして熱中力の導入である「学習内容に興味をもつきっかけ作り」を加えてはいかがでしょうか。

子どもたちそれぞれが秘めている興味を源泉とする熱中力を短期間で身につけるのはなかなか難しいのですが、必死に勉強している子どもたちの集中力があれば、急に学習内容に熱中することも期待できると思います。

 

例えば次回の授業内容の予習としてまず以下のような問題を解いてもらいます。
この予習は子どもたちと親御さんが一緒考えてもらうのもいいと思います。その方が子どもたちにとって考えやすいかもしれません。

 

Q.東京都に住む人たちのなかで、同じ髪の毛の本数の人が2名以上いることを証明してください。ただし、1人の髪の毛の本数は14万本未満とし、東京都の人口は1400万人とします。

 

A. 0本〜13万9999本=14万人
次の14万人を選出するだけでどうしてもどこかの本数が被ってしまう。
よって同じ髪の本数の人は2名以上存在する。

 

抽象化された設問ではなく、具体的で印象的な問題をクイズに近い形で予習段階に考えてもらい、授業内容の理解を深めることがねらいです。できるだけ生徒のレベルに合わせた問題を出し、解けなくても必ず自分なりに答えを先生に説明してもらう。正解できたら自信を積み上げ、学習内容へ興味を持ってもらう取り組みです。

この本は問題としてとても面白く、活用できそうなので参考にしてみてください。
https://www.amazon.co.jp/%E8%A7%A3%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8B%E6%95%B0%E5%AD%A6-%E4%BD%90%E8%97%A4-%E9%9B%85%E5%BD%A6/dp/4000063391

 

熱中力は好奇心、興味の対象を発見するまでに時間がかかるため、短期的に成果を出すのはなかなか難しいことです。しかし、学習内容に少しでも興味を持てれば、子どもは突然大人の想像を越える意欲を見せてくれることもあります。

 

塾の先生方は短期間で本質的な学習内容の理解ができないことを重々承知で、子どもたちを見放さずに苦慮の末、進学等の成果を出されていると思います。本当に頭が下がります。少しでも先生のお役に立てますと幸いです。

 

このたびの講演に参加していただき、ご質問をいただいたことを感謝しております。

ありがとうございました。