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vol-3

中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.3】セグメントの重要性

著者の紹介

森 智勝

(もり・ともかつ)

塾生獲得実践会 全国学習塾援護会 主宰 

17年間の塾経営を経て、塾専門のマーケティング勉強会(塾生獲得実践会)を設立。机上の空論ではなく、現場主義を貫くマーケティング手法を全国の塾に提供している。経営コンサルタント、スタッフ研修等を専門に行っているが、特に不調塾の立て直しには定評がある。

マーケティングにおける「セグメント」の重要性

マーケティングを考える上で最も重要なことがセグメントです。セグメントとは「顧客(見込み客)の絞り込み」という意味です。

卵や牛乳を扱うのなら別ですが、ほとんどの商品は「誰にいくらで売るか」という発想で開発されます。例えば一口に化粧品と言っても、ターゲットが若い女性か中年の女性かで、マーケティング方法は違います。象徴的に言えば、コマーシャルに起用するタレント(女優)が違います。宣伝広告を仕掛けるプロデューサーの立場からすれば、「この化粧品は私のためにある」と視聴者に思わせなければ、購買行動に誘うことができません。そのため、全体の20%程度にセグメントして商品開発・販売促進を進めるのが常道です。

 

「学校補習からTOP校合格まで」の罠

もともと塾は、ごく限られた年齢の顧客を対象とするビジネスです。年齢で言えば10歳~18歳、その中でも12歳~15歳(中学生)をボディゾーンとしています。実にニッチなビジネスです。卵が住民のほぼ全てを対象とする商品であるのに対して、塾はその20分の1程度の市場規模しかないのです。そのため、どうしても対象者全てをターゲットとしてしまいがちになります。出来ることなら全ての生徒に通塾してもらいたいと考えてしまうのです。ところが、その「思い」が逆効果になっています。

象徴的な例を挙げると、「学校補習からTOP校合格まで」とアピールしている塾です。

「学校の授業についていけない? 大丈夫です、当塾で面倒見ます」「TOP校に進学したい? 大丈夫です、当塾で面倒見ます」と、どんな生徒にも対応できるとアピールしてしまいます。いえ、その言葉に嘘はないでしょう。ある程度の力量を持つ塾長ならば、対応が可能だと私も思います。問題は、そうしたアピールをしている塾を見ている見込み客、特に保護者の捉え方です。

保護者としては、我が子に最も相応しい塾を選択したいと思っています。ところが、「学校補習からTOP校合格まで」と言われると、その塾は何が得意なのか分かりません。我が子にとって相応しい塾かどうかが分からないのです。

1人でも多くの生徒を集めたいという思いは重々解ります。そのために間口を広げたいという思いも解ります。あなたに、その力量があることも承知しています。しかし、それでは顧客の興味・関心を惹くことはできません。それどころか、「そんな、何でもOKと言う塾、本当に大丈夫かしら?」と敬遠してしまうのです。市場の20%にセグメントし、「ああ、この塾は私の(我が子の)ための塾だ」と思わせることが重要なのです。

 

「あの塾は〇〇な塾だ」というポジションを築く

かつて、ある塾のチラシに「オール3を目指しましょう!」というキャッチコピーがありました。この塾はいわゆる成績不振者を対象とした救済塾です。ほとんどの塾が成績優秀者を望む中、あえて成績不振者にセグメントしたのです。リード文には次のような内容が書かれています。

私は、「勉強しなくても80点が取れるから」と、努力を怠ることを否定します。同様に、「どうせ頑張っても60点しか取れないから」と、努力を放棄することも否定します。その子なりに向上心を持って頑張る子を応援したい。そして、取った素点だけで生徒を評価したり、ましてや馬鹿にすることを絶対に許しません。

この塾は、こうしたアピールを続けた結果、生徒数が40人から100人に増えました。そして想定外だったのは、成績不振者だけでなく優秀な生徒も増えたのです。塾長が、「こんな優秀な生徒は、もっと別の塾に通った方がいいですよ」と言っても、保護者が「いえ、我が子には先生のような考え方の人に指導してほしい。成績だけに追われる大手進学塾よりも、先生の塾でノビノビと勉強させたい。教室の隅でいいので置いてやってほしい」と頼んでくるのです。(これはセグメントと同時に、後述する「理念」の問題が大きい)

ある塾は堂々と、「当塾は補習塾です」と宣言しています。ある塾は「日本一厳しい試験対策」をアピールし、成績優秀者を集めています。「あんな厳しい塾は嫌だ」という生徒がいる一方、「厳しくても成績上位になりたい」と望む生徒が通ってくるのです。また、わざわざ「医科歯科大専門予備校」と、間口を狭めるように名乗るのも、医学部・歯学部を志望する生徒に「ここは僕が行くべき予備校だ」と思わせるためです。

要は、「あの塾は〇〇な塾だ」という評判を作ることです。塾の性格がハッキリすれば、自分(我が子)に相応しい塾かどうかが判断できます。

さて、あなたの塾は「どんな生徒にとって相応しい塾」ですか? 「〇〇を要望するなら、どうぞ他塾へ。でも、△△ならば自塾以上の塾はありません」と言える塾を作ってください。そうすれば、△△を望む生徒が自然と集まってきます。誰にも嫌われたくないと思っている人は、誰からも好かれないものです。この真理は、塾経営にも通じます。ぜひ、市場全体の20%にセグメントしてください。

 

<バックナンバー>
中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.1】マーケティング力と商品力
中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.2】塾における商品とはなにか?