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~コロナ危機の中の学習塾~
vol.4 迷ったときは消費者の声に耳を傾ける

著者の紹介

多田 昭寛 (ただ・あきひろ)

個別指導研究会代表

塾業界に、「個別指導」という業態を全国 に広めた第一人者。大手進学塾専務、 大手個別指導塾代表取締役を歴任。現 在も、全国各地の学習塾の顧問を務める など精力的に活動。その教育論や実践 例を伝えるセミナーが好評を博している。

 Comiruの活用

ここまで、全体的に危機的な売上減が広がっていると言う話をしてきました。オンライン授業の実施が早くても大きな痛手をこうむっています。

教室で授業を続けるか、休講にして振替を行うか、オンライン授業をやるか塾の社長や幹部の悩みは尽きませんし、決断したとしても果たして正しい決断なのかは分かりません。しかし、結果を見るとどの判断でもそれなりの痛手をこうむっています。

しかし、その中で何も悩むことなく決断し、生徒数・売上共に増やしている塾がありました。

塾の社長や幹部が、塾の施策を考える時に、生徒や保護者の意見も聞かずに考えると言う思考パターンはいつから始まったのでしょうか。大手塾になればなるほど、社長や幹部は現場から遠くなり、生徒や保護者の声に耳を貸さなくなったようです。

実は、学校休校でも外出自粛要請でも何も悩む必要はなかったのです。私たち学習塾は、生徒・保護者のために教室運営をやっており、授業を続けるか、振替をするか、オンライン授業をやるか、オンラインスクールをやるかは、保護者に聞けばよかったのです。私は、学習塾の顧問をやっているのですが、その中にcomiruを導入している塾が有りました。3月2日学校休校が始まる前に、教室での授業を希望するか振替を希望するかcomiruを通して保護者全員にアンケートを取りました。次の週には、オンライン授業の準備をし、教室での授業か振替かオンライン授業かの希望を聞きました。4月の第1週には、オンラインスクールを準備して参加を募りました。

その結果は、3月は8割以上が教室での授業を希望し、オンライン授業が始まると振替の希望はほぼ無くなりました。4月は8割弱が、5月は7割くらいが教室での授業を希望していました。他の塾でもアンケートを取りながら選択制を取った塾がありましたが、都市部は上記のような結果になり、地方ではこれより1割程度教室での授業を希望する人が多くなっています。外出自粛要請が出ている中であっても、塾側が思った以上に、教室での授業の希望が多かったのです。

オンラインスクールの実施については、参加の意思だけでなく、たくさんの感謝の声が寄せられました。この塾では、オンラインスクールは生徒の友達にも開放されましたので、塾生以外の参加も塾生と同数ぐらいが参加しました。口コミだけで広がったのです。外部からのオンラインスクール受講者にもcomiruで連絡が取れるようにしました。今でも、この時のオンラインスクールに参加した外部生からの入会は続いています。オンラインスクールに参加し、教室に通えない遠方の人がオンライン授業を受講しています。6月から有料の定期テスト対策も実施し、夏期講習の売上も前年同様に確保できたので、今ところ売上は前年対比120%以上、生徒数は前年より若干多い程度で推移しています。これも勝手に塾運営を考えずにcomiruを使って生徒・保護者と共に塾運営を考えてきた結果だと思います。

一方で大手塾でcomiruを導入している塾が、3月の授業を振替にして大きく売上を下げてしまいました。同じようにcomiruを導入していたのになぜこんな違いが起きたのか?大手塾では、生徒・保護者との距離が遠い幹部が方針を決定してしまいがちだからです。しかし、comiruが有れば、いつでも気軽にたくさんの生徒・保護者の気持ちを知ることができます。現場から遠いからこそ、生徒・保護者の声に耳を傾けるべきではないでしょうか。

 

【連載:コロナ危機の中の学習塾】
Vol.1 困惑する学習塾。緊急事態宣言下から学ぶものはなにか?
Vol.2 塾の授業がオンライン化するだけでは代替できなかったもの 
Vol.3 各塾の売上確保策と伸長策
Vol.4 迷ったときは消費者の声に耳を傾ける
Vol.5 生徒・保護者のITリテラシーの向上