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~コロナ危機の中の学習塾~
vol.5 生徒・保護者のITリテラシーの向上

著者の紹介

多田 昭寛 (ただ・あきひろ)

個別指導研究会代表

塾業界に、「個別指導」という業態を全国 に広めた第一人者。大手進学塾専務、 大手個別指導塾代表取締役を歴任。現 在も、全国各地の学習塾の顧問を務める など精力的に活動。その教育論や実践 例を伝えるセミナーが好評を博している。

 危機をチャンスと捉えて経営の進化を

 3ヶ月の学校休校期間中に、学習塾においては大きな変化が起きました。ズームを使えなかった社員がほとんどだったのに、全員が使えるようになり、オンライン会議が当たり前になっています。しかし、実は塾側の変化よりも、生徒・保護者側の変化の方が大きいのです。生徒にタブレットやパソコンを渡して、デジタル教材や映像教材を活用したくても、今までは生徒が使いこなせないと言う理由で普及できなかったのですが、この三ヶ月でハードもITリテラシーの準備も整い、いつでもデジタル教材や映像教材を塾の授業にとりれることができるようになっています。また、ズームの録画機能を活用することで動画作成も簡単になり、資料請求の問合せに対し、パンフレットの代わりに動画を配信することができるようになっています。定期面談も入会面談さえも、オンラインで可能になりました。

 ある塾で、6月から長期間の定期テスト対策を実施することになり、動画を作成し、その動画を見ていただいた後、ズームで面談し、申し込みを取ることになりました、数日で動画を作成し、1週間でズーム面談を終わりました。4万円以上の受講料だったのですが、8割の受講が有りました。驚いたことに社員間の格差がほとんどなく、80%~83%の幅に入っていました。面談で受講が決まったと言うより、動画の説得力で決まったと言えます。これは、教室展開をする大手塾にとっては、講習会の提案や入会面談などに活用できる手法だと思います。学校休校以前なら、動画を見てくださいとか、ズームで面談しますとか言えるはずもなかったのですが、3ヶ月で何の抵抗も無くなっています。

 学校休校中に、オンライン授業をやらず、教室での授業を続けてきた塾は、この生徒・保護者のITリテラシーの向上が起きていないと思いますし、社員もITを活用した塾運営を考え付けないと思います。今からでも遅くはないので、ITを活用した授業や面談等に取り組まないと、社会の変化について行けなくなると思います。

 とりあえず、comiruでも入れてみますか。保護者とのcomiruを使ったコミュニケ―ションでスキルを磨いてはどうでしょう。

 今回は、学校休校と学習塾の対応を見てきましたが、コロナ危機が学習塾の運営に大きな変化をもたらしています。コロナ危機で世界は大きく変わりました。学習塾も大きく変わりました。もう元には戻れません。元に戻れば、確実に学習塾は崩壊します。今後の経営スタイルについて次回の連載で再びエントリーしたいと思います。

【連載:コロナ危機の中の学習塾】
Vol.1 困惑する学習塾。緊急事態宣言下から学ぶものはなにか?
Vol.2 塾の授業がオンライン化するだけでは代替できなかったもの 
Vol.3 各塾の売上確保策と伸長策
Vol.4 迷ったときは消費者の声に耳を傾ける
Vol.5 生徒・保護者のITリテラシーの向上