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講師研修会(勉強会)の参加率、どうすれば上がる?
講師研修会(勉強会)の参加率、どうすれば上がる?
著者の紹介
安多 秀司 (やすた・ひでし)
株式会社リアル・パートナーズ、株式会社個別教育フォレスト
ゴールフリー、スタンダードカンパニーを経て独立。個別教育フォレストを開校。個別指導歴17年。自塾を運営する傍ら、全国各地で個別指導塾の経営コンサルティングやセミナー登壇などにも精力的に取り組んでいる。
参加率90%の秘訣
弊塾では年に3回、講師研修会を行っています。入会者・退会者の情報や講習会での指導の進め方を共有したり、講師同士で模擬授業を行ったり、何らかのテーマを決めてグループワークを行ったり。
同じような研修会や勉強会を実施しておられる塾長さんも多いと思いますが、一方でこんな声も。
「せっかく開催しているのに学生講師の参加率が低くて……」という悩みです。
通常授業がある平日の開催は難しいですから、必然的に土日を利用することになるぶん、講師の皆さんも足が遠のきがちなのかもしれません。こちらとしても、本来は休日であるときに、無理やり研修に参加させることははばかられます。
ただ弊塾では、年間の開催回数こそそんなに頻繁ではないものの、講師の参加率は毎回90%前後で推移しています。なかなか100%にならないのが残念なところですが、それでも数値的にはまだ高いほうではないでしょうか。
もちろん、講師のみんなが業務に前向きで積極的でいてくれるからというのも理由の一つでしょうが、こちら側の行動として、「参加したくなるような仕掛け」を施していることもポイントだと思います。
例えば「就活に関する講演や講座」を研修会に組み込んでいることもそのひとつ。
学生講師からすると、就活は避けては通れない関門です。そこで弊塾では、福利厚生の一環として、就活サポートとしての講演会や講座を研修会で同時開催しています。講師からしても「バイト先で、就活のヒントがもらえるのはありがたい」と思ってくれているようで、実際にそういうレスポンスも多いです。努力が実って第一志望の会社に就職できた講師も多数おり、少しはそこに貢献できたのかと思うとやりがいもあります。
ぜひ、みなさんにもこうした「就活サポート」を研修内に盛り込むことをお勧めしたいです。
講師研修会に参加したくなるゲストの面々
ちなみに弊塾の就活講習では、過去にこういった方々を講師としてお招きしました。
<サントリーで人事にも携わった、株式会社ZESTの林大輔代表>
明光義塾を7教室運営されていた元フランチャイズオーナーさんです。
サントリー社で営業や人事に携わっておられた強みを活かし、塾経営でも大成功を収められました。
そのご経験から
「就活のポイント」「面接のポイント」
「学生時代に意識しておけばいいこと」
「塾のバイト業務で、社会人スキルを身につける方法」
といった内容のお話をしていただきました。模擬面接の面接官役を務めていただいたこともあります。
弊塾ではこの3年ですでに5回ほど講演をしていただきましたが、参加する講師の構成や時期に応じて内容もアレンジしてくださり、講師からも非常に感謝されています。
ちなみに林代表は、現在経営されているZEST社の業務の一環として、全国各地で「超・就活セミナー」という講演をされています。単なるノウハウのレクチャーではなく、塾経営畑のご出身ならではの「塾で働くことが社会に出てどのように活かせるか」といったメリットも存分にお話しいただけるので、講師の業務に対するモチベーションアップにもなり、一石二鳥なのです。
<ANAの元CAさん>
ANAの元CAさんにも3回お越しいただきました。テーマは「マナー研修」と「第一印象研修」です。例えば名刺の渡し方から、挨拶の仕方、おじぎの角度まで、プロ中のプロともいえるCAさんに指導していただきました。
第一印象をよくするための口角を上げる練習、発声練習などなど……「すぐに使える」情報満載で、これまた講師たちにも好評です。
一般的なマナー講師の方にお願いするのもアリでしょうが、あえてCAさんに依頼しているのは私の個人的な趣味……いや(笑)、「ANAのCAさんから教えてもらった」という貴重な経験が、(研修会に対する)ブランド価値になると考えたからです。
<弊塾で働き、社会で活躍している元講師>
弊塾で3〜4年間働いてくれた講師が、社会人となり活躍しています。
林氏のような経営者さんや、CAさんのような「すごい人」にレクチャーいただくのも良いのですが、ときにはできるだけ学生講師たちに立場や視点が近い人から話してもらうのも効果的です。親でも先生でも友達でもない、「ナナメの関係」ってやつですね。
元講師に話してもらう内容としては
「今の仕事内容や働き方」
「自身が講師時代に意識して取り組んでいたこと」
「就活でのポイント」
「弊塾(フォレスト)で働くメリット」
などですが、こちらも講師たちからは「リアルな声が聞けた」と絶賛の嵐でした。
元講師が話す内容ですから、親近感がわかないはずがありません。この人選も非常に良かったと自画自賛しています(笑)。
講師が進んで参加したくなる研修会に
いかがでしょうか?
これはあくまで弊塾の事例であって、別に講演会でなくても、もっといえば就活に関連する情報でなくても良いのです。講師にとって役立つ何かを提供することができれば、研修会への参加優先順位は飛躍的にアップします。逆を言えば、講師研修会の参加率が低いのは、「講師研修会に参加するメリットが感じられないから」です。
講師が自分にとって重要だと判断すれば、週末であろうと他に予定があろうと、なんとか参加しようとしてくれますものね。
講師研修は、広い視点で捉えればもちろん「教室のため」なのですが、「目の前の講師のため」という気持ちで臨めば、おのずと良い企画も生まれてくるはず。自分(自塾)のためではなく、講師のため、そして生徒のため。
研修会に限らず、こうした意識が結局は繁盛する教室を生み出すのではないかと思います。
中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.8】
「電話対応の仕方」
著者の紹介
森 智勝
(もり・ともかつ)
塾生獲得実践会 全国学習塾援護会 主宰
17年間の塾経営を経て、塾専門のマーケティング勉強会(塾生獲得実践会)を設立。机上の空論ではなく、現場主義を貫くマーケティング手法を全国の塾に提供している。経営コンサルタント、スタッフ研修等を専門に行っているが、特に不調塾の立て直しには定評がある。
保護者から電話がかかってくる時間
チラシで興味を持ち、ホームページで疑似体験をした保護者(母親)から、ついに問い合わせの電話が掛かってきます。ここが顧客と塾とのファーストコンタクトであり、最も重要な場面です。
具体的な話をする前に、1つ大切なことを指摘します。保護者が電話を掛けても、留守にしている塾があります。専業主婦が朝の家事を終え、少し余裕をもって新聞広告に目を通すのは午前10時前後です。そこで気になった塾を見つけ、電話をしても留守です。
なぜか。
多くの中小・個人塾は午後から始業するところが多いからです。塾は基本、夜間を中心に活動する業態です。そのため、午後1時から10時までを就業時間としているところが一般的です。それを当たり前と思っています。しかし、世間の常識は違います。一般企業は9時から動いていますし、デパートも10時から開店します。電話をしても呼び出し音が鳴り続ける塾に、再度電話をする保護者はいません。働いている主婦が塾に電話を掛けるのは夜です。ところがここでも電話に出ない塾があります。「授業中は指導に集中するため、電話に出ない」あるいは「気付かない」塾が多いのです。
長くこの世界に身を置いていると、それが当たり前のようになってしまいます。しかし塾業界で当たり前のことでも、世間の常識とはズレていることが多いのです。今回のテーマとは外れますが、塾のイベント(たとえば保護者会)の受付で塾のスタッフが椅子に座り、保護者(顧客)が立ったまま手続きをしている場面を見ることがあります。一般的な企業マナーからは考えられないことです。残念ですが、中小・個人塾においてしばしば見られる光景です。
それぞれの塾に事情があるのは重々承知です。しかし電話を転送するとか、せめて受付時間を分かりやすく明記するとかの配慮は必要です。
電話対応の目的は、次のステージである「来塾を促すこと」
本題に戻します。あなたの塾は、こんな電話対応をしていないでしょうか。
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母親「ちょっとお尋ねしたいのですが…」
塾 「はい、何でもお尋ねください」
母親「…中学2年生なのですが、時間割はどうなっていますか?」
塾 「えっと、火曜日と金曜日の午後7時から9時半です」
母親「そうですか…授業料は?」
塾 「月額で2万円です」
母親「…わかりました。また子どもと相談してお電話します」
塾 「はい、いつでもお電話お待ちしています」
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きっと、この母親は二度と電話を掛けて来ないでしょう。なぜなら、母親の知りたいことに答え(応え)ていないからです。「えっ、質問には明確に答えているけれど…」と思われるかもしれません。しかし、母親が知りたいのは時間割でも授業料でもありません。
そもそも母親はチラシやホームページを見て電話を掛けています。時間割や授業料は知っているのです。
塾に電話を掛けてくる母親の胸中を想像してください。子どもの勉強について何らかの問題や悩みを抱えているから塾に電話を掛けて来ます。しかし、電話の向こうの初めて話す見ず知らずの他人に、最初から子どもの悩みを打ち明けるほど明け透けな人は少ないものです。ですから、「時間割」や「授業料」といった当たり障りのない話題から始めているのです。その思いを汲み取って対応しなければ、期待外れと思われるだけです。「この塾は私(我が子)の問題を解決してくれそうもない」と。
ではどうすればいいか-簡単な話です。聞いてあげればいいのです。聞かれたことには答えて…
================
塾 「授業料は2万円です。ところで現在中学2年生ということですが、部活は何をされていますか?」
母親「サッカー部です」
塾 「ああ、それならば何人か当塾に通ってくれている生徒がいますよ」
母親「はい、息子も友達から塾のことは少し聞いているみたいです」
塾 「現在、どこか塾には通われていますか?」
母親「近くの集団塾に通っているのですが、あまり成績が上がらなくて…」
塾 「それはお母さんとしては心配ですね」
母親「はい、そうなんですが、本人はどうやって勉強すればいいか解らないみたいで…」
塾 「それならば一度、ご本人さんと教室にいらっしゃいませんか?
私でよろしければ勉強の方法についてアドバイスしますよ。もしかしたら塾を替わらなくても済むかもしれませんし…」
母親「お願いできますか?」
塾 「はい、遠慮なく。それでは息子さんの名前を教えていただけますか?」
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こうして会話をつなげることで相手の悩み-成績が上がらない、勉強方法が分からない-を聞き出すことができます。
以前、入塾までの階段設定を説明しました。各ステージには次のステージへと歩みを進ませる仕掛けが必要だと。電話対応の目的は、次のステージである「来塾を促すこと」です。そのためには電話での会話、キャッチボールを通して、「この人(塾)なら問題を解決してくれるかもしれない」という小さな期待を持ってもらうことが必須です。
そう、電話を掛けてきた母親が本当に知りたいのは、「この塾が悩みを解決してくれるかどうか」なのです。
Comiru導入事例_AIE英語専科様
AIEが 『理想とする学校を実現するには、 コミルを導入するしかない!』と、出会った瞬間、衝撃が走りました。
課題
スタッフの未収金の回収業務が負担になっていた。また、保護者への連絡は、メール送付後電話の2段階にしていたが、なかなか保護者メールや電話で連絡がつかない保護者が多かった。
効果
クレジットカード払いを導入し、未収金回収業務を効率化。保護者からの連絡はComiruに一本化し、コミュニケーションもスムーズに。
<AIE英語専科の紹介>
「真の国際人」を育てることをモットーに、兵庫県内の4つのキャンパスで英語教育を実施。幼児から大学生、社会人まで幅広い層に、英語の楽しさと可能性を教えている。
1993年のオープン後、6年間で計1,000名を超える英検合格者を輩出。小学3年生で英検準1級、小学5年生で英検1級合格のほか、国内外への海外有名大学への合格者を多数出すなど、兵庫県No1と確かな実績を誇る。
課題は未収金回収 解決の 一手に
コミルを知ったきっかけは、定期的に参加している経営勉強会で聞いたポパー代表によるコミルの説明を受けているときでした。聞いた瞬間、「これしかない!」と衝撃が走りましたね。
どこの塾も抱えている課題の一つだと思いますが、AIEも他塾同様、授業料の未収金回収に頭を悩ませていました。弊社は当時、時流に乗って拡大を続けておりましたが、教育体制を充実させていく一方、請求や入金チェックの管理が行き届かず、未収金の回収という課題を抱えていました。 また、弊社はもともと、子供たちの可能性を伸ばすために英語教育を行いたいという情熱から始まった学校。そのため、日ごろ「先生」と呼ばれて親しまれているスタッフにとって、この未収金回収という業務は心理的に抵抗が大きいものであるという問題もありました。
しかしながら、学校経営もビジネスであり、いくら高い理想や熱意があっても、経営が立ちゆかなくなってしまえば、それを叶えることができなくなってしまいます。
そんな時に出会ったのがコミルでした。また、本来のコミュニケーションツールとしての機能も申し分なく、口座引き落としではなく、クレジットカードによる支払対応で未収金問題を解決してくれる機能に惹かれすぐに導入を決意しました。
時流に合わせたコミュニケーションツールへ
我々塾がサービスを提供するのは目の前の生徒です。しかし、生徒だけでなく、授業料をお支払いいただいている保護者の満足度も重要なのが、学校・塾というビジネスの特徴です。そのため、保護者とのコミュニケーションをどのようにとるかは非常に大事であり、どこも苦慮されている点だと思います。弊社も他塾同様、頭を悩ませている課題の一つでした。
AIEでは、保護者の方へのお知らせは、メール送付後、確認電話という2段階体制で実施していました。理由はLINE等のSNSが主流になり、メールに気付いてもらえないことが多く、重要なお知らせが伝わっていないためです。しかし電話は保護者との時間帯が合わないことも多く、メールと電話という2度の連絡は時間も要し、効率が良いとは決して言えませんでした。時代の変化に合わせ、我々が変化していかなければいけないと日々感じていました。
事前の環境作りで スムーズな導入に成功
現場にとってもメリットが十分に感じられたため、導入決定をしました。しかし、弊社ではチャットでのやりとりが初体験のスタッフがいるなど講師の年齢層が幅広いこともあり、実装にあたって、まずは環境作りから始めました。
例えばコミュニケーションツールに慣れてもらうために、プライベートのやり取りはLINEを、業務連絡はChatworkといったように簡単なやり取りから実施しました。
すると初めは戸惑いを見せていた一部講師陣も積極的に使ってもらうことで、次第に慣れていく様子が手に取るように見てとれました。また嬉しいことにコミュニケーションツールのメリットである『双方向性と、やりとりの見える化』も同時に図ることができました。今まで受け身であったスタッフに対し、周りから「〇〇さんはどうですか?」などと問いかけが来ることで、自分事として捉えてくれるようになり、皆で議題を進めていくことができるようになりました。 そうした経験を積んだ上でのコミル導入だったので、活用度に強弱はあれど、拒絶反応や操作に難色を示すことなく導入をスタートすることができました。
もっとも、課題があるのも事実です。普段からITツールに慣れ親しんでいるスタッフのほうが、様々な機能をスムーズに使いこなせている印象を受けます。
今後はITリテラシーの高いスタッフからノウハウを全社的に共有していく仕組みをつくることで、徐々に全社でコミルを使いこなせるようになっていくと良いと考えています。
生徒との時間共有& 密度UP
実は、コミルを導入したことで、嬉しい誤算がありました。先ほどもお話ししたように、元々は業務効率化をすることで、ここ最近注目されている「働き方改革」もあわよくば期待していたのです。
しかし実際は、コミルを使用することで削減できた時間を、生徒に向き合う時間に充てるスタッフばかり。生徒とのコミュニケーションはとても密度の濃いものとなりました。
思ってみれば、先代社長は本当に面倒見がいい人で、公教育ではなかなか手が回らない細かいサポートを行える学校を理想としていました。しかしながら、できるだけ多くの生徒にそうした機会を提供しようとすればするほど、付随業務が増え、結果理想とは相反し、目の前の子どもに向かい合う時間が減るというジレンマに陥っていたのです。
密度の濃いコミュニケーションの結果得られたのは、退校生の数の減少。なんと塾では願ってもなかなかない、退校生0人という月が何カ月も続いているキャンパスも出てきました。それだけでなく新規入校生も増加し、嬉しいことに昨年は生徒数が過去最高を達成することができました。 コミルのおかげで、これからは思う存分、AIEの理想とする教育の実現を目指していけると思います。
請求書機能やLINE連携機能を用いながらComiruを使って塾・スクールの運営業務を効率化していくのか、弊社コンサルタントが機能紹介とともにご提案させていただきます。 下記よりweb会議をご予約の上、ぜひディスカッションさせてくださいませ。
退会をなくせば、生徒は増える!
退会をなくせば、生徒は増える!
著者の紹介
安多 秀司 (やすた・ひでし)
株式会社リアル・パートナーズ、株式会社個別教育フォレスト
ゴールフリー、スタンダードカンパニーを経て独立。個別教育フォレストを開校。個別指導歴17年。自塾を運営する傍ら、全国各地で個別指導塾の経営コンサルティングやセミナー登壇などにも精力的に取り組んでいる。
学習塾運営の基本に戻る内容で今回はお伝えしたいと思います。
集客以前に、塾の中身が大事
やっぱり塾って、中身ありきだと思うんです。ナントカ集客術とか、ナントカマーケティングといった技術でも塾生を集めることはできますが、それは一過性のもの。その手法が陳腐化されれば、また新しいノウハウに頼るしかなく、いわば表面を取り繕い続けるだけの自転車操業です。やはり、「塾として質が高い」という、当たり前で中心となる太い幹があってこそ、枝葉となるビジネステクニックも活きてくるものだと思います。
もちろん、新規立ち上げの時などは、まずは自塾の存在を知ってもらうためにチラシを折り込んだり、校門前配布をしたりといった広報活動は必要です。開校してからも、常に知ってもらうための宣伝をするのも大切です。
ただ、繰り返しになりますが、広告ってバランスがとても大事で、中身がないのに宣伝に力を入れても、退塾がどんどん出るだけ。
「チラシではいい塾だと思ったけど、入ってみたらそうでもなかった」と、悪い評判がどんどん広まります。
問題は、そういう悪評が定着してしまうと、広告さえも逆効果になってしまう場合があるということです。
広告すればするほど、「ああ、あの評判の悪い塾ね~」「生徒集めに必死ね」「相変わらず、チラシで良く見せるのだけは上手ね」と、ますます問い合わせがなくなります。もうこうなると、最悪のスパイラルです。
私は、自塾を運営しながらコンサルティングもさせていただいているので、色々な塾さんから相談を受けますが、その半分以上が結局は「生徒が集まらない」「チラシの反応がない」といった内容です。
全員がそうではありませんが、こういった方々のほとんどが、新しい塾生を確保することにばかり執着し、今いる生徒さんや保護者さんのことを全く見ていないケースです。釣った魚に餌はやらないというと言いすぎですが、入塾してくれた時点でミッションコンプリートだと思っているフシがあります。
ですから、私がこうした相談を受けたときにまず尋ねるのは「年間の退会数は何名ですか」という質問です。仮に、「生徒数が20~30名で、退会者は月1名程度です」なんて答えが返ってくるようであれば、心を鬼にして強めにまずこうお伝えします。
「チラシ云々より、生徒がやめない仕組みを作りましょう。」
反応をよくするためにチラシにいいことばかり書いて、実際の中身が伴ってないのであれば、はっきり言ってそれは詐欺です。
そう言われると、カチンとくる方も多いと思いますし、私も心苦しい気持ちもあります。
しかし、そうした指摘を客観的かつ謙虚に受け止め、中身を改善できない・するつもりがないのであれば、塾をやってはいけないと思います。チラシに騙されて入塾してしまった生徒さんや保護者さんを不幸にするだけです。私個人は、そんな人を食い物にするような塾は潰れてしまったほうがマシだと思います。
ずいぶんと毒を吐いてしまいましたが、こうした意識の部分はスタートラインであり、ここを掛け違えると、その後に何をやっても表面的な対策しかできなくなります。もし「ドキッ!」とした方がおられたら、ぜひ意識なさってみてください。
退塾・退会数の目安となる”退会係数”
さて、退塾・退会数の目安ですが、私なりのシンプルな計算法があります。
昨年度のMAX生徒数と年間退会数(非受験生)は分かりますよね? この「年間退会数÷MAX生徒数」から出てきた数値が、退会係数です。弊塾の場合、弊塾であればMAX時が80名、年間の退会数が3名でしたので、3÷80=0.0375です。
仮に同じ生徒数80名で退会数が8名だったら、退会係数は8÷80=0.1。退会数が12名だったら、12÷80=0.15となります。
それを前提に、私が基準としている目安は以下の通りです。
==============================
退会係数 0~0.05 ・・・内部充実がきちんと出来ている塾
退会係数 0.05~0.1 ・・・内部充実がまあまあな塾
退会係数 0.1~0.15 ・・・内部充実が甘い塾
退会係数 0.15以上 ・・・内部充実ができてない塾
==============================
一度、あなたの教室の退会係数を算出してみてください。
ちなみに集客がらみのご相談に来られる塾さんのほとんどが、退会係数0.15以上です。
やはり、生徒数を増やしたいと思うのであれば、まず生徒さんが辞めない教室作りを始めてみましょう。
成績アップするためにどうすればいいか、生徒さんが通いやすい塾にするためにはどうすれば良いか、保護者さんに満足してもらえるように私たちがどう接していくか。やり方は色々あるはずです。何度も何度も掘り下げ、突き詰めていけば、退会は必ず減ります。これを続けることで、塾の評判が良くなり、紹介の問い合わせも増えるはずです。
この状態でチラシを入れれば「あっ、あの評判のいい塾だ」ということで、チラシのレスポンスも飛躍的にアップします。
「退会が3名出たら、入会を3名増やせばプラマイゼロ」という発想は今すぐ捨ててください。それはプラマイゼロではありません。明らかにマイナスなのです。
集客とは「お客を集めるのではなく、お客が集まる」ことだと思います。人が集まってくれる中身を作らない限り、あなたの塾の未来はありませんよ。一緒に頑張って内部充実を高めていきましょう!
20210222_ComiruFree
\ 口コミ収集機能や入塾希望者の問い合わせ管理に使える!/
【無料】ComiruFreeプラン始まりました!
【1】見込顧客管理
対応状況が一目で確認できる一覧表(ガントチャート)機能
体験授業やその後の面談など、見込顧客がそれぞれどういったステータスにあるのか、状況を一覧で確認できるようになり、見込顧客対応の抜け漏れを防ぎます。
横軸となる対応フローの項目は塾・スクールに合わせて変更が可能です。
【2】体験記(口コミ)収集/掲載 ※6月以降順次リリース予定
体験記収集
【ComiruFreeプラン概要】
■費用:0円
■ご利用期間:無制限
■利用可能機能
・見込顧客管理
・体験記の収集/掲載(※6月以降順次リリース予定) 他
※2021年6月時点、リリース予定の機能を含む
教師自身が同僚や保護者に勧めたくなる機能であれば、きっと校舎業務の改善に直結します。
課題
保護者への連絡が電話に依拠しており、時間がかかる割に、留守番電話にメッセージが残るだけとなり、コミュニケーションが”入れ違い”がちに。
効果
電話の時間を効率化することができたと同人、保護者から「時間を選ばすに確認・返信ができる」「今までより相談しやすくなった」と喜びの声が。
<秀英予備校の紹介>
静岡県静岡市に本部を置く、小学生、中学生、高校生を対象とした学習塾・予備校。現在では全国24都道府県に、約300の校舎と700人の教師を抱え、生徒数は約25,000人に達している。集団授業のほかに個別指導、映像授業など幅広い授業スタイルを揃え、小・中・高を通した持続的な学習サポートを目指している。
<今回お話をお伺いした方>
ITシステム課 課長 手塚喜紀氏 (左)
2003年入社。大学受験部、新規事業本部を経て、ITシステム課へ。社内グループウェアやeラーニングシステムのリニューアル、授業用タブレットの導入を担当。
ITシステム課 上級プロフェッショナル 清水志帆氏(右)
2011年入社。約6,000台の授業用パソコン・タブレットの調達および管理。システム開発や各種ツールの導入、ユーザーサポート全般を担当。
生徒数2万名を超える「大規模運用」
手塚氏:
私たちの塾では、2019年10月に小中学生を対象にコミルの本格導入が始まり、翌年の4月には高校生の運用も開始しました。コミルは学習塾の運用に合わせて開発されており、多くの教師や保護者から「とても使いやすい!」という声が寄せられています。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う学校の休校など、保護者の不安が高まっている状況においても、コミルを用いた情報提供やコミュニケーションによって信頼関係を維持することができました。コミルが無ければ、目まぐるしく変化する緊急事態に迅速に対応することは難しかったと思います。
清水氏:
特に高校生の運用は世界的な混乱の中でスタートを切る形となりましたが、休講やオンライン授業の連絡ツールとして活躍し、たくさんの感謝の声を頂きました。
秀英予備校の場合、小中学部だけでも生徒数2万名を超える「大規模運用」です。導入に際しては、既存システムとのデータ連携、権限構成の検討、インフラの準備など、技術的に検討すべき事項がありました。これらの点は、コミル開発担当者による高度な技術サポートによって、着実に解決することができました。
次に運用面の課題として、多くの保護者と約700名の教師が一斉にシステムを利用する必要があります。新しいツールをすぐに使いこなせる方もいれば、苦手意識を持つ方もいます。その全員の足並みが揃うように何ができるか? これについても手厚いアドバイスがあり、校舎数を限定した試験運用や社内向け説明会、保護者会での登録案内などを行い、短期間で本運用を開始できました。まずは現場からの好評の声にホッとしています。
「シンプル」「全体最適」「持続可能」
手塚氏:
システム部門としてコミル導入を検討する際に、特に3つの条件を重視しました。1つ目は「シンプル」であること。どんなに強力なツールでも、仕組みが複雑で使いこなすための努力が必要になるものでは、かえって教師の負担になってしまいます。
2つ目は、「全体最適化」ができること。生徒・保護者を含めた塾に携わる全員がバランスよく恩恵を得られるものを探していました。
そして、3つ目は「持続可能」であること。システム導入はゴールではなく、そこからがスタート。利用者の負担、管理上の作業負荷、維持コストなどを考慮して、継続的に利用できることが重要です。
コミルはこれらの条件をすべて満たしていました。学習塾の運営経験がある開発者によるシステム設計に加え、熱意のある提案やアドバイスが強力な推進力となり、驚くほど自然に教室の運営に馴染んでいきました。
いまでは塾生の約95パーセントが登録しており、秀英予備校にとって、重要な教育サービスの一つとなっています。
生徒と向き合う時間をつくり出したい
清水氏:
初めてコミルを触った頃を振り返ってみましょう。まずは本導入前に一部の校舎に限定して試験運用を行いました。一般的に試験導入は現場にとって業務負荷が高く、依頼する側も心苦しい面があります。しかし、コミルの場合は「私の校舎で使ってみたい」という声が集まり、驚かされました。
若手の教師が業務用タブレットを使って楽しそうにコミルを使いこなす様子に、周りの皆が引っ張られる形でどんどん導入準備が進んでいきました。多くの人が関わる大規模導入であればこそ、現場の声を信頼することが重要だと学びました。
手塚氏:
「どのように使えば生徒や保護者のためになるか」を試行錯誤しながら周囲と相談する教師の様子を見て、近隣校舎の情報を互いに閲覧できる権限構成に変更しました。自分の担当校舎や生徒だけでなく、「秀英予備校の社員として協力し合う」という良い文化がコミルの中でも機能していると感じます。
さらに試験導入に参加した教師にアンケートを取りました。もっとも重要と考えていた項目は「(コミルの各機能について)周囲に勧めたいと感じますか?」という質問への回答です。どの機能もとても高いスコアでしたが、特に「お知らせ・お問い合わせ」は殆ど満点と言える結果でした。
教師自身が同僚や保護者に勧めたくなる機能であれば、きっと校舎業務の改善に直結します。このスコアが高い機能から優先的に使い始めることで、導入の効果を実感しやすくなったと思います。
清水氏:
秀英予備校の教師は「生徒に向き合いたい。生徒の力になりたい」という熱い想いを持っています。コミルを通して、それを伝えることで保護者との信頼関係はさらに深く強固なものとなりました。
サービス名の「コミル」は「子を(一緒に)見守る」に由来していると聞きました。とても素敵な名前ですし、まさに教師と保護者が共に子どもの成長を見守る関係性を作ることを支援するツールだと感じています。
教師の仕事は授業以外にも山のようにあります。それらをひとつずつ、コミルの機能で軽減し、教師が働きやすい環境を作っていきたいと考えています。
手塚氏:
私も同じ意見です。教師のエネルギーを事務作業で削いでしまうのではなく、少しでも多くのリソースを生徒や保護者に集中できる環境に変えていきたい。
社内にシステム部門が置かれた理由は、「教師の言葉(要望)とシステム会社の言葉(技術的な専門性)の双方を理解した橋渡し役となり、教育業界の大きな変化に迅速に対応するため」です。この役割を果たす上で、コミルは強力なツールになると感じています。
清水氏:
必要性の高い機能から段階的に導入していますが、教師から「この機能も使いたい」という要望がたくさん届いています。なるべく早く対応できるように頑張ります。
手塚氏:
今回の新型コロナウイルスの衝撃は大きく、旧来の対面式の面談や授業、保護者会、各種業務を考え直す必要に迫られています。しかし、これを機に新しい形の「密な」コミュニケーションや業務デジタル化の可能性も具体的に見え始めています。
新しい時代に求められる「コミュニケーション」と「校舎業務」の劇的な変化に、コミルであれば応えてくれると期待しています。
中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.7】
「チラシの見直し方」
著者の紹介
森 智勝
(もり・ともかつ)
塾生獲得実践会 全国学習塾援護会 主宰
17年間の塾経営を経て、塾専門のマーケティング勉強会(塾生獲得実践会)を設立。机上の空論ではなく、現場主義を貫くマーケティング手法を全国の塾に提供している。経営コンサルタント、スタッフ研修等を専門に行っているが、特に不調塾の立て直しには定評がある。
興味を持たれない「イメージチラシ」と「メニューチラシ」
チラシの目的は「塾に興味を持ってもらうこと」です。そのためには最も大きな文字であるキャッチコピーが重要だと、前回お話しました。逆に、読者(保護者)から興味を持たれないチラシの代表が「イメージチラシ」と「メニューチラシ」です。
イメージチラシとは例えば、「カワイイ女子生徒」の写真(有料ポジ)を使用し、「頑張る君を応援します!」等の抽象的なキャッチコピー(キャプション)で構成されているチラシです。あるいは、ハードルを跳び越える陸上選手の写真に、「未来に向かってジャンプ!」などという構成も典型ですね。
見た目はカッコいいのですが、塾の特長が全く伝わりません。プロのデザイナーに依頼すると往々にして生じる現象です。彼らはデザインのプロなのであり、塾運営(塾生獲得)のプロではありません。
メニューチラシとは文字通り、「塾生募集」の大きな4文字と時間割、コース、授業料で構成されているチラシです。デリバリのピザ屋ならばいいのですが、一般的な外食の場合、メニューは店内に入ってから提示するものです。
ましてや塾は、顧客単価(生涯売上)が高額になるビジネスです。月額2万円、年額30万円、平均在籍年数2年と仮定すれば、総額60万円の商取引です。1枚数円のチラシにメニューを書いただけで、60万円の商品を買ってもらおうというのは無理があります。
チラシは地域の人(将来の見込み客)に対して、自塾を認知してもらうためのツールです。自分の子どもが塾年齢に達していない保護者が、イメージチラシやメニューチラシに興味を示すことはありません。また、塾を検討している保護者にとっても、あまり効果的なチラシではないでしょう。(もっとも、既に地域で評判を作っている塾ならば、どんなチラシを配布してもそれなりの反応があるのですが…)
ターゲットを思い浮かべてキャッチコピー&リード文を作る
こうした失敗は、全ての生徒(保護者)を対象としてチラシを作成してしまうことに原因があります。
以前にもお話しましたが、塾は卵や牛乳を売っているのではありません。どんな塾にも得手不得手があります。自塾を必要とする20%の生徒(家庭)を対象とした塾作りをして、その20%の人が「この塾は私(我が子)のための塾だ」と思わせることが必要です。
ならばチラシも、その20%の人に向けての情報発信であるべきなのです。あなたの塾がターゲットとする20%の生徒を思い浮かべて、彼らに向けたメッセージをキャッチコピー&リード文に込めてください。
「読者に求める次の行動」を意識してチラシ作りがポイント
後は細かいことの羅列になりますが、重要なことは「読者に求める次の行動」を意識してチラシ作りをすることです。
例えば電話での問合せをしてほしいのなら、電話番号を大きく表示することです。そして「受付時間」「担当者」を明記して、「お気軽にお問い合わせください」のコメントも忘れずに。これらは全て、電話を掛ける時の心理的障壁を低くする手段です。我々が思っている以上に、塾に電話を掛けるという行為は心理的負担が大きいものです。
また、ホームページに誘(いざな)いたいのであれば、QRコードの表示は必須でしょう。母親の90%はスマホを持っています。電話で問い合わせてくる保護者は、間違いなく事前にホームページを閲覧しています。
そこでホームページです。
ホームページの制作コンセプトはチラシと変える!
今や、ホームページを持っていない塾は稀ですが、効果的なホームページを持っている塾も稀です。ホームページの特長を全く生かし切れていないのです。
チラシは「塾に興味を持ってもらうこと」が目的でした。それに対してホームベージは「塾を疑似体験してもらうこと」が目的です。それなのに、ホームページの制作コンセプトがチラシとほとんど変わらない塾が多いのです。
例を挙げると、チラシは全て文字と画像で構成されます。ところがホームページも文字と画像で構成されている塾が多いのです。それどころか、同じソースをチラシとホームページに載せているケースも珍しくありません。せっかくチラシで興味を持った保護者が、ホームページを覗いて全く同じ文章と写真が載っていたら…ガッカリします。そこで「手抜き」を感じた保護者は、肝心の授業・指導も手抜きをしていると思ってしまいます。これでは逆効果です。
原因は、チラシを作成するときにホームページから内容をコピー&ペーストしてしまうことです(あるいはその逆も)。
ホームページはチラシとは比べ物にならないくらいの情報量を掲示できます。その代表が映像です。例えば塾長挨拶。文字で掲示するのではなく、塾長自らが登場する映像で生の声として届けることができるのもホームページです。授業の様子やイベントの様子も映像で伝えたいものです。(ただし、生徒の肖像権には要配慮)今はYouTube等を利用することで、簡単に映像をホームページに掲載することができます。ぜひトライしてください。
中小・個人塾の場合、塾=塾長です。塾長がどんな人で、どんな考え方を持っているかを、保護者は最も気にしています。ですからチラシでもホームページでも、塾長が顔と名前を堂々と出すべきなのです。それが安心感を生みます。
さて、チラシ&ホームページを経て、いよいよ塾に問い合わせの電話が掛かってきます。ここが保護者と塾のファーストコンタクトであり、最も重要な局面です。次回、電話対応の肝について詳しく解説します。
コロナが落ち着いても続けたい、オンライン5つのメリット!
著者の紹介
安多 秀司 (やすた・ひでし)
株式会社リアル・パートナーズ、株式会社個別教育フォレスト
ゴールフリー、スタンダードカンパニーを経て独立。個別教育フォレストを開校。個別指導歴17年。自塾を運営する傍ら、全国各地で個別指導塾の経営コンサルティングやセミナー登壇などにも精力的に取り組んでいる。
弊塾(個別教育フォレスト)は、緊急事態宣言の発令後、直接の対面授業を全てストップし、4~5月の間、完全オンライン授業に移行しました。6月からは基本的に対面授業に戻しましたが、一部オンライン授業を継続しています。
おそらく同じような対応を取られている塾さんは多いと思いますが、これまでをふり返ってみて、オンラインによる教室運営のメリットがいくつか見えてきました。
オンライン授業を実践して見えてきたこと
実際、コロナという予期せぬ外圧によって始まった取り組みではありますが、怪我の功名とでも言うのでしょうが、新しい発見もたくさんあったのは事実です。もしかしたら、まだまだ新しいアレンジのチャンスが眠っているかもしれません。私なりの気付きを5つのポイントにまとめましたので、今後の貴塾運営のヒントになれば幸いです。
なお前提として、弊塾は一般的な1:2の個別指導塾です。それを前提とした事例ではありますが、集団指導や自立型の塾さんにおいても十分応用がきくと思いますよ!
さて、その5つのポイントとは以下の通りです。大きく「塾および講師」「生徒さん」に分けて、それぞれのメリットを整理してみます。
<塾・講師側のメリット>
- 講師が帰省先でも授業ができ、シフト管理が楽になる
- 育休中のスタッフでもテレワークが可能になる
- 指導スキルが向上する
<生徒さんのメリット>
- 不登校の生徒さんでも授業が行える
- 部活で最終コマが間に合わない生徒さんも授業が受けられる
オンラインのメリット ~塾・講師編~
【その1】講師が帰省先でも授業ができ、シフト管理が楽になる
これはとても大きなメリットでした。弊塾では、実家を離れて一人暮らししている学生講師が全体の6〜7割を占めますので、帰省時のシフト管理は毎年ひと苦労だったのです。1日や2日くらいの休みなら大丈夫ですが、特に長期帰省時は「今週・来週はまるまるシフトに入れない」ことも多いですからね。
しかし、オンライン指導が可能になったことで、この問題が解消します。「講師は帰省先から、生徒は教室から」という形を作ることができました。
実際、講師も帰省したところで、1日中予定が詰まっているわけではありません。物理的に「教室に出勤できない」だけであって、「仕事する時間がない」わけじゃないんですよね。講師としても、帰省中は収入が途絶えてしまうわけですから、「帰省中もできて、アルバイトもできる」のであれば、願ったり叶ったりです。
さらに、シフトに穴が開かないことで、もちろん生徒さんも受講しやすくなります。私たち塾側も、帰省する講師も、生徒さんにとっても、みんなにメリットがある最強モデルではないでしょうか。コロナ自粛や移動制限もいったん落ち着きを見せ始めたいま、コロナに関係なく今後も活用できると思います。
【その2】スタッフのテレワークが可能になる
全国的にテレワークの認知や推進が進みましたが、塾も例外ではありません。上記の講師シフトも、言わばテレワークですしね。
ただ、弊塾でのテレワーク実践は講師以外にも波及しました。今年の4月から育休復帰したスタッフです。当初は、保育所にお子さんを預ける形で復職してもらうことになっていましたが、送り迎えの負担や、急な発熱などのトラブルもあるでしょう。そこで、塾内のオンライン環境を整えるのに乗っかる(?)形で教室勤務を減らし、その分をテレワークに振ったのです。
これも効果はてきめんでした。むしろテレワークにすることで、稼働時間を増やすことができたのです。
本来の教室勤務では夕方までの勤務だったのですが、テレワークで自宅にいながら業務ができます。本来は退勤後であった夕方以降の時間帯で、オンライン授業を行ってもらうことが可能になったのです。また、大学の学校推薦・総合型選抜(旧推薦・AO)入試の志望理由書の添削や、オンラインによる1on1セッションも手伝ってもらえるようになりました。
もちろん「自宅でも仕事しろ!」とかそういう話ではありませんよ。「もっと働きたいけど、家庭の事情でその時間が作れない」というスタッフさんにとって、とても良いシステムだということです。「対面でなくてもできること」って、意外と多いんだなと感じました。
【その3】指導スキルが向上する
オンラインは、対面と比べたときに圧倒的に「視覚」から得られる情報が不足します。対面指導では、講師は生徒さんのほぼ真横にいますから、彼らのいろいろな情報を目から得ることができます。例えば鉛筆の動き具合、ノートに書いている途中式、表情などです。私たちは、こうした視覚情報から得たことを、授業に反映していきますよね。
そのためオンラインの場合、「隣にいない=視覚情報を得にくい」という部分をカバーする必要があります。例えば対面時に比べ、より具体的に、より的確に問いかけるなどする必要があるのですが、弊塾の講師たちはこの能力が向上しました。
この経験が、対面になったときも活きています。対面授業しかやっていなかったら、なかなか身につかない(気付けない)意識だったので、とても役立っています。
オンラインのメリット ~塾・講師編~
【その1】部活で最終コマが間に合わない生徒さんも授業が受けられる
全国大会を目指すようなガッツリ系の部活に所属する生徒さんは、遅くまでその練習に汗を流します。しかし、一度自宅に帰って荷物を置いてから弊塾に向かうと、最終コマ(20時40分)開始に間に合わないことがありました。生徒さん自身も「自宅でオンライン授業を受けられるのは、とても楽で便利!」と言っていました。確かに自宅で着替えることもできて、ほっと一息ついてから授業に臨めるのはとても大きいですね!
【その2】不登校の生徒さんでも授業が行える
弊塾では、不登校で学校に通えていない生徒さんが何名かおります。これは賛否両論あると思いますが、私自身は「学校に行きたくなければ行かなくて良い」派です。ただ不登校の場合、「学校は休んでいるのに塾には行く」という状況に抵抗がある生徒さんが多いのも事実です。繊細なメンタルの部分なのですが、気持ちはとてもわかります。ちなみに、学校でも「不登校の生徒さんに(オンラインで)学習指導する機会ができて良かった」という事例は多数あったようです。
また、塾であっても対面の授業が苦手で参加できないという生徒さんもいます。そうした生徒さんも、オンライン授業なら参加が可能です。実際、オンライン授業が確立できていなければ、この生徒さんと授業することはできませんでした。オンラインにして良かったな、と思ったことの一つです。
以上、オンライン授業を行ったことによる運営メリットです。塾さんによっていろんなケースがあるとは思いますが、少なくとも私はオンライン授業を導入・実施したことで「教室運営の幅が広がった」のは間違いないと思います。
対面授業もオンライン授業も、どちらでも対応できるようにしておくことで、外的要因に左右されにくい「強い」運営が行えるようになるはずです。「コロナが過ぎ去ればオンラインは不要」とは考えずに、せっかく良いツールを手に入れたのですから、今後に活かしてみませんか!?
中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.6】
「行動すると意欲が増幅する」
著者の紹介
森 智勝
(もり・ともかつ)
塾生獲得実践会 全国学習塾援護会 主宰
17年間の塾経営を経て、塾専門のマーケティング勉強会(塾生獲得実践会)を設立。机上の空論ではなく、現場主義を貫くマーケティング手法を全国の塾に提供している。経営コンサルタント、スタッフ研修等を専門に行っているが、特に不調塾の立て直しには定評がある。
新規塾生獲得は戦略が必要
人(消費者)が購買行動をするにはいくつもの法則があります。前回お話した「感動の法則」もその一つです。
単価の低い商品ならば、衝動買いを誘うマーケティング手法があります。こんなTV通販を見たことがありませんか?
「こんな素敵な時計が1万円ですか? ではペアで揃えても2万円で済みますね」
「いえ、今ならペアで1万円です」
「まあ!」
「そして何と今回、この革製ベルトのペア時計を加えてもジャスト1万円の大キャンペーンです」
「ひぇ~!!!」
一般の主婦が衝動買いをする価格帯があります。データによると3,000円以下です。そのために通販商品は単価を3,000円以下にする工夫をしています。上記の時計も単価は2,500円です。健康食品や美容食品も、「初回に限り半額の〇〇円です」と、単価を3,000円以下にすることが通例です。いわゆる「まっ、騙されても惜しくない程度の価格」を設定するわけです。
ところが高額商品、例えば家や車はそうはいきません。そこで、別の法則を駆使します。人は、「行動することで意欲を増幅させる」という行動法則を持っています。
小さな成功体験が次に向かうモチベーションになる
慰安旅行で泊まった宿に卓球台があったとします。「課長、卓球しましょう」と部下に誘われ、気乗りはしなかったが付き合うことにします。そのうち汗をかき調子が乗ってくると、「よし、紙とペンを持って来い。トーナメント大会を開催するぞ。優勝者には俺がビールを振舞ってやる」と、自ら率先して動くことになったりして…。
よく、「その気にならないのに学習を強いても無駄だ」という人(保護者)がいます。それはある意味正しいのですが、では、自然と学習意欲が生まれるかと言えば、それは難しい。最初はある程度の強制力が必要で、その結果、小さな成功体験を持たせることです。その経験が自己肯定力になり、次に向かうモチベーションになります。「君はやればできる」ではなく、やって成果が出た時に「なっ、やればできただろう」と言ってあげることです。これを応用していきましょう。
塾によって授業料は違いますが、平均すると月に2万円、年間30万円程度になります。3年間通えばすぐに100万円という、家庭にとっては安くない買い物です。それをチラシ1枚で衝動買いさせようとするのは無理があります。そこには行動の法則を熟知した戦略が必要です。
何事も、最初の一歩に最もエネルギーを必要とするものです。最初の一歩を踏み出した人は、次の一歩に大きなエネルギーを必要としません。ハウジングセンターが「ゴレンジャーショ-」を開催するのも、新聞販売店が新規契約に洗剤や、時としてプロ野球の観戦チケットを付けるのも、その「第一歩」を促すためです。スーパーがチラシの冒頭に「卵1個、1円」と特売を表示するのも同じです。大きなファーストインプレッションを消費者に与えて、第一歩を踏み出してもらうことが狙いです。
詳しいことは今後の解説の中でお話しますが、少なくとも相手(生徒&保護者)に第一歩を踏み出してもらい、入塾までの階段を登ってもらう戦略が必要です。
新規塾生獲得までのステージ
新規塾生を獲得するまでの階段は、チラシ⇒ホームページ⇒電話問合せ⇒面談⇒体験授業⇒正式入塾となるのが一般的です。それぞれのステージに、「次のステージに踏み出してもらうための仕掛け(工夫)」をすることです。少なくとも、チラシから一気に入塾を求めるのは無謀です。(もう一つの獲得ルートである「紹介」については別項で解説します)
それぞれのステージの役割は次のようになります。
- チラシ …塾に興味を持ってもらう
- ホームページ …塾を疑似体験してもらう
- 電話問合せ …そこはかとない塾の信頼感を持ってもらう
- 面談 …確かな信頼感を(特に保護者に)持ってもらう
- 体験授業 …指導のクオリティを(特に生徒に)感じてもらう
こうした役割を意識して、それぞれのステージを構築していきます。
いよいよ次回から、具体的な手法についてお話を進めます。ただ、これだけは忘れないでください。ビジネスにとって商品力が全体の8割の重要度を占めています。クオリティの高い商品(授業・講師・カリキュラム等)の存在を前提にマーケティングは威力を発揮します。
最初のテーマは「チラシ」です。「最近は新聞をとっていない家庭が増えた」とか、「チラシの反応率が悪くなった」とかの理由で、チラシを「あいさつ程度」にしか投入しない塾が増えているようです。もちろん、その現象を否定はしませんが、それを理由にチラシ(新聞だけでなくポスティングやタウン誌)を軽視するのはお勧めしません。一般市場に「認知」を深めるツールとして、チラシはまだまだ有効です。また、チラシの内容を吟味することは、塾全体の吟味をする良い機会です。「まずは隗より始めよ」の言葉があるように、チラシの見直しから塾の見直しを始めることをお勧めします。