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中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.5】

中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.4】
感動の法則

著者の紹介

森 智勝

(もり・ともかつ)

塾生獲得実践会 全国学習塾援護会 主宰 

17年間の塾経営を経て、塾専門のマーケティング勉強会(塾生獲得実践会)を設立。机上の空論ではなく、現場主義を貫くマーケティング手法を全国の塾に提供している。経営コンサルタント、スタッフ研修等を専門に行っているが、特に不調塾の立て直しには定評がある。

「満足」では消費者は動かない 

 マーケティングとは「商品の良さを早く正確に伝える技術のこと」です。では、なぜ商品の良さを早く正確に伝えなければならないのでしょう。言うまでもなく商品を買ってもらうためです。消費者に購買という行動に移してもらうためには、1つの原理・原則があります。それは「感動してもらうこと」です。

 あるレストランが来店客にアンケートをとりました。すると、90%以上の人が「満足」と答えました。その結果に安心していたのですが、その後の客足が伸びません。不思議に思った1年後、追跡調査をしました。すると、満足と答えた人の8割が、二度とその店を利用していなかったのです。

 ビジネスにおける感動の定義は、「期待値を超えた部分」です。商品には全て価格が存在します。例えば缶コーヒーを買う時、誰もが130円を支払います。購入者は130円分の期待値を有します。その缶コーヒーを飲んで130円分の価値を認めた時、人は「満足」と表現します。そこに届かないのは全て「不満」です。では、満足を感じた人は次も同じ缶コーヒーを購入するでしょうか。そんなことはありません。なぜなら、「130円の対価を払っているのだから、130円分の満足を得るのは当然だ」と考えているからです。缶コーヒーを飲んで「このコーヒー、メチャクチャ旨い!」と思った人だけが、次もその缶コーヒーを買う、いわゆるリピーターになります。

 前述のレストランも、例えば1万円のコース料理を提供した場合、客に1万円分の満足しか与えていなかったのです。当然アンケートでは「満足」と答えますが、それでリピーターになることはありません。

 

口コミや評判が生まれるための「感動の法則」

 期待値=価格以上の、いわゆる感動を得た人は次の行動に移します。自分の得た感動を誰かに伝えずにはいられなくなります。

「ねえ、あのレストラン、行ったことがある? 雰囲気が良くて美味しいよ。今度、一緒に行きましょう」

「えっ、あの映画、まだ見ていないの? あれは見ておくべきだよ」

人は、感動してはじめて行動に移す性質を持っています。これを「感動の法則」と言います。口コミや評判が作られる仕組みはココにあります。

 

「授業料」を超える感動は提供できているか?

 同じことは塾というビジネスの場にも言えます。あなたは「一所懸命に指導している」と、思っているかもしれません。「精一杯、解りやすい指導をしている」と、自信を持っているかもしれません。しかし保護者からすれば、「そんなの当たり前じゃない。だって、高い授業料を支払っているのだから」と、考えているのかもしれないのです。この状態では、生徒や保護者が口コミや評判を拡げることもなく、生徒が増えることもありません。

 生徒や保護者の期待値を上回る「何か」を提供することです。もちろん、「えっ、こんなに成績が上がった」「説明が凄く解りやすい」という感動が最良なのでしょうが、それだけではありません。「とても親身に接してくれる」「面倒見が本当にいい」、あるいは「話が上手で面白い」や「塾の先生、いつも元気でパワフル」でもいいのです。とにかく相手(生徒&保護者)の期待値をどう上回るかが重要です。そして、それは言葉だけのスローガンでは通用しません。エビデンスとしての具体的な行動が必要です。

 ある塾長は、毎月30ページのニュースレターを発行しています。生徒や保護者は「塾長先生、寝てます?」と心配するくらいです。保護者は「あそこの塾長は毎月30ページのニュースレターを書いているよ」とは言いません。「あの塾の先生、熱心だよ」と口コミします。

 これも1つの法則なのですが、人は「具体的な事象に触れてはじめて、抽象的なイメージを持つ性質」を持っています。そして「抽象的な文言に触れた人」は…猜疑心を抱きます。例えば「解るまで指導します」「トコトン教えます」というキャッチコピーを見た保護者は、「本当かしら。解らなければ、夜中でも朝まででも指導してくれるのかしら。まさかね」と思います。

 少なくとも、あなたが「塾の指導者のレベル」で止まっていたなら、相手に感動を与えることはできませんし、相手が次の行動に移すこともありません。学習意欲の低い子どもを勉強に向かわせる最大の方法は、「先生がここまでやってくれる。その行為(期待)に応えよう」と思わせることです。ここでも感動の法則は生きています。

 マーケティングは1つのスキル(技術)ですが、本気で取り組むことが重要です。その本気が伝われば、相手を感動させることが可能です。小手先の手練手管で何とかなると思っていると、それは確実に見透かされます。あなたの本気を「形」にすること-それが感動を創り出す源泉です。

 
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分かるようで分からない「内部充実」の本質に迫る​

分かるようで分からない「内部充実」の本質に迫る

著者の紹介

安多 秀司 (やすた・ひでし)

株式会社リアル・パートナーズ、株式会社個別教育フォレスト

ゴールフリー、スタンダードカンパニーを経て独立。個別教育フォレストを開校。個別指導歴17年。自塾を運営する傍ら、全国各地で個別指導塾の経営コンサルティングやセミナー登壇などにも精力的に取り組んでいる。

 

広告はフックにすぎない 

 今回のテーマは「内部充実に徹する」。私がコンサルティングをする際に、そして自塾を経営する上においても、最も大切にしていることです。

弊塾は大手塾ポータルサイトを利用していませんので、保護者さんからのお問い合わせルートは原則として「チラシ」「HP」「看板」、あるいは「紹介」「評判」のいずれかです。このうち広告媒体は「チラシ」「HP」「看板」の三つですが、これらは基本的にフックにしか過ぎないと思っています。

もちろん、それらがどうでもいいと言うのではありません。チラシ1枚作るのにも、それこそ必死で構成や見せ方も工夫に工夫を重ねています。それはみなさんと一緒です。ただ気を付けているのは、「それだけで問い合わせが増えるものではない」ということです。問い合わせの数は、あくまで塾そのものの質(=内部充実度)に比例していると思います。つまり、掛け算の考え方ですね。極端に言えば、いくら最新のマーケティング技術を駆使した良いチラシを作っても、土台となる塾の質がゼロなら、いくら掛け算しても反響はゼロのままだという考えです。

保護者さんが塾を探す際の、個人のつながりを駆使した情報網って、本当にすごいですよ。私たちの予想のはるか上をいっていると想定しておくくらいでちょうどいいです。

「あの塾は、雰囲気がとても良い(悪い)」
「あの塾は、社員がとても良い(悪い)」
「あの塾は、対応がとても良い(悪い)」

などなど、ありとあらゆる情報が交換されています。そして、良いも悪いもウワサや口コミの類は、尾ひれがついて回ります。とにかく、軽く見てはいけないのです。

反響量の数がチラシの中身だけに依存しているなら、理論的には同じチラシを作れば同じような数の反響があるはずなのです。セミナーや勉強会でチラシの作り方を学んで実践しても、塾さんによって結果が異なるのは、(時期や地域性などを除けば)やはりベースとなる塾の中身が影響している可能性大です。

 

広告より先に、見直すべき「基礎構造の欠陥」はありませんか?

 私もコンサル業務の一環として、多くの塾さんのチラシづくりをお手伝いさせていただいておりますが、この本質的要素は非常に強く意識します。そのため、チラシの制作前に必ず教室を訪問し、塾長さんとお話ししたり、教室の雰囲気を感じたりなど、「塾の基礎構造」の部分をしっかり見させていただくようにしていいます。

 以前は、依頼を受けたほとんどの塾さんのチラシ制作をお手伝いしていましたが、最近では、この訪問時に「うーん、微妙な塾さんだなぁ……」と感じる場合は、お断りすることも増えてきました。「チラシ以前の問題」であることもあるからです。

 ただ、そもそも私は困っている塾経営者さんを助けたくてコンサル業をしているわけです。その面から言えば、お断りするのはどうかと悩むのですが、仮にチラシだけ良いものを整えて、ある意味で「騙す」かのように生徒さんを入塾へ導いても、彼らを不幸にしてしまう可能性が高いです。もちろん、その「チラシ以前の問題」から一緒に解決していきましょう!となる場合もありますし、生徒さんのためになる環境を作ることで、結果として塾の経営状態も良くなる――この順番を間違えたくないと思います。

 ですからやはり、良いチラシを作って、良い成果(=生徒さんがたくさん集まる)を出すためにも、まずは内部充実だと思うのです。もしいまあなたの塾で、生徒数が増えずに悩んでいるとか、チラシの反応が全くなくて困っておられるということであれば、まず一度、チラシよりも塾の中身を見つめ直してみることも大切にしてください。何か根本的な原因や改善すべき点が見つかるかもしれませんよ。

 

そもそも「内部充実」って何だ?

 そこで、どう内部充実すればいいの?という話になると思いますが、ひとことで「内部充実」と言っても、定義があるものではありません。個人によって、解釈の差もあるでしょう。「内部充実」という、あいまいで広範囲で抽象的な表現が良くないのかもしれませんね。

 ただ、基本的・根本的な思想さえ分かっていれば、具体的な取り組み方は多様であっていいと思います。私の考える「内部充実」の基本思想は、例えばこんな感じです。

 

・生徒さんや保護者さんとの丁寧なコミュニケーションを図る
・生徒さんをやる気を引き出し、成績が上がる
・人間力のある講師を採用・研修し、授業を行う
・笑顔で生徒さんを迎え入れ、笑顔にする
・勉強しやすい静かな空間を作る
・退会を出さない(=退会しようという気持ちを微塵も抱かないくらい、良い塾にする)
・生徒さん一人ひとりのことを考え、最適なプランを立てる
・できない事はしない、言わない
・約束はきちんと守る
・命をかけて塾運営を行う

 

 特に変わったことはしていませんが、弊塾ではこうしたことを意識して塾づくりをしています。先述したように、これをどうやって具体化するかはそれぞれの方法で良いと思うのです。心から生徒さんのためになることは何かを考えて、当たり前のことを当たり前にしていたら、自然と内部充実につながっていくはずですよ。こうした本質的な部分をやらずに、目新しさや小手先にばかり頼るのが、良くないのだと思います。

 

「奪い合う」ことから「与え合う」発想へ 

 よく、広告論やマーケティングセミナーなどで語られる「生徒を集めます」「生徒を入会させます」という表現は、個人的にはあまり好きではありません。単なる言葉のあやだというのは分かっているのですが、「○○させる」という言い方は、テクニックで誘導して相手に自分の意に沿う行動を取らせようとしている感じがして、どうにもモヤモヤするのです。

 あなたがお客の立場だったら、同じことを感じませんか?何かを買ったときに、お店側が裏で「あの客に買わせてやった(買うように誘導した)」なんて言っていたら、腹が立ちますよね。やはり「○○させる」という言い方は、顧客に対し失礼な考え方であると思います。生徒さんや保護者さんは「入塾したい」のであって、「入塾させられたい」のではないんです。

 「じゃあお前はどうなんだ」と言われたら、確かに弊塾も完璧ではありません。できていない部分ももちろんあり、ついヨコシマな発想で考えている自分に気付いて「ハッ」とすることもあります。そこは反省と改善を繰り返しながら、少しでも胸を張って塾経営できるように修行の日々ですね。だからこそ、ここをお読みくださっているあなたと一緒に成長しながら、良い塾づくりをしていきたいと思っています。

 究極を言ってしまえば、塾経営の方針や理念は人それぞれ。私の考えを押し付けることなどできません。それでも声を大にして断言したいのは、「内部充実ありきで生徒数は増える」ということです。

 顧客は決してバカではありません。売り手側が思う以上に、はるかにかしこいのです。そうすると、顧客の想像の上をいくテクニックやノウハウを必死で考え出そうとする人がいるのですが、それは騙し合いのイタチごっこ。売り手と買い手が利益を奪い合う構図です。そうではなく、やはり「与えあう」関係を作りたいですよね。いかに相手から「奪う」かに知恵を巡らせる時間と労力があれば、いかに「与えられるか(=顧客を喜ばせられるか)」を考えたほうがいいですし、すなわちそれこそが「内部充実」なのです。

 正々堂々勝負して、正々堂々生徒数が増える。内部充実はまず基本の心構えから!いや、この心構えさえできれば、自然と内部充実できるのです。ここを忘れずに、一緒に、地域に評価され貢献できる塾を目指していきましょう!

 

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事例_ゴールフリー膳所教室

教室長になってすぐにコミルを導入。退塾率の減少と紹介率の向上で生徒数が増加。ここまでの成果につながるとは想像していませんでした。

ゴールフリー _ 膳所教室

教室長

膳所教室 阪口 雅弘 教室長

本社

大津市馬場2丁目11-17 ルーツ膳所駅前ビル3階

対象

小学生・中学生・高校生

個別指導

使用機能

指導報告書​

お知らせ

課題

非効率な保護者への月次指導報告書

効果

業務の効率化に加え、コミュニケーションの頻度と質の向上から退塾率減少と紹介率UPへ

ゴールフリーの紹介>

1989年に京都に開塾。以来30年余りの間に累計約8万人もの生徒を指導した実績をもつ「個別教育ゴールフリー」は、独自開発の最先端教育メソッド「教育コーチング」を全ての講師(以下:コーチ)が習得し指導できる仕組みの構築により、90%以上の子どもが主体的なやる気とリーダーシップを育める“志共育”を実現。個別指導のパイオニアとして、関西を中心に難関校への合格者を多数輩出。

答えてくれた人:阪口雅弘さん

今回は、教室長の阪口雅弘さんにComiru導入についてインタビューさせていただきました。阪口さんは同社にて学生時代から4年間コーチとして勤めていく中で、リーダーコーチとして認められるほど、より社員に近い業務をこなす中、本部教室長のマネジメントに魅力を感じ、新卒として入社されました。現在は2校の教室長として教室運営から保護者面談、採用、研修、集客まで担われています。

Comiruとの出会いは教室長就任後間もなく。
業務効率化に期待していました。

 当時、担当していた教室には50名弱ほどの生徒が在籍していました。当塾では一か月分の生徒への指導報告書をまとめたマンスリーレポートを保護者の方へ送っていました。ただ、これがとても非効率な方法だったのです。

●コーチに授業ごとに手書きで指導報告書を書いてもらい、教室長は月末にまとめて生徒全員分をチェックする。

●手書きで報告書をまとめて、マンスリーレポートを作成。それを手作業で封入の上、保護者の方に郵送する。

もっとも、そうはいっても報告書が送られてくること自体は保護者の方から好評でした。また、作業自体は以前から行っていたことなので、非効率と思う一方で「こういうものか」と思う気持ちもありました。とはいえ、かかる時間やコストは無視できないものになっており、なんとかならないかと思っていたのです。Comiruを導入することで、こういった手書きや封入作業の削減だけではなく、さまざまな業務効率化ができる機能に期待していました。

導入にあたっては、多少の不安もありました。

 とはいえ「これまでのやり方」は良くも悪くも完全に定着していました。だからこそ、それを「変える」のには不安はつきものです。特に、今回の変化は「紙からデジタル」という送り方の変化だけではなく、送るタイミングを「月に1回から毎回の授業後」にするという変化も伴っていました。その点については最後まで懸念がありましたね。

 例えばアルバイトのコーチがきちんとComiruを使って、報告書を提出できるようになるのか。教室長である自分自身も月一でまとめてチェックをしていた報告書を、毎日確認する時間が確保できるのか。結果として、これまでよりも報告書の質が下がってしまわないか。そして保護者の満足度が下がってしまわないか。

 あるいは、報告書を送る頻度が上がり、保護者の閲読率が上がったとして、その「意図せざる結果」はないのか。つまり、保護者の方に指導内容が詳しく見られすぎてしまうことによって、かえって問合せが増えたり不満が増えてしまうことにならないか……。と、このような懸念です。ただ、変えないことは「変わらない」こと。やはりより良い教育に変えていくためには時間を生み出すことが必要だと考え、導入へと踏み切りました。

効果①保護者の満足度と生徒の自主性、業務の効率化ができた

 では、実際に導入してどうなったか。まずはポジティブな面からお話ししましょう。報告書が手書きからデジタルに移行したことで、期待したとおりに作成の時間を短縮することができ、業務の効率化につながりました。そして、保護者の方に授業が終わってからすぐに報告書を届けることができるようになり、私たちが生徒に寄り添う姿勢をより感じていただくことができたと思います。そしてゴールフリーのミッション「個別、だけど一人じゃない」を体現し、保護者の方々の満足度に大きく貢献したのではないかと感じています。

 その一方で、当初はネガティブな面もありました。生徒が自身の授業の様子を随時報告されることに強い抵抗感を感じていたのです。これは若干予想外でしたが、生徒の身になって考えてみると「確かにな」と。しかし、目的はマイナスの報告をするためではなく、成績を上げるために、もっと「伸ばしていったら良い点」や「改善点」など生徒自身のための日々の報告であると何度も伝えることで、自然と反発は薄れていきました。時間が経つことで、生徒も慣れてきたという部分もあったでしょうね。そして次第にポジティブな変化が出てきました。生徒が宿題を必ずやってくるようになるだけでなく、授業中の緊張感も増し、結果成績も上がる。成績が上がることで生徒は楽しく塾に通ってくれるようになる。こうした好循環を生むことができました。

効果②コーチのやりがいと向上心を創出できた

 コーチ(講師)の反応も上々でした。はデジタルに強い世代ですので、今までの報告書より、はるかに時間が短く効率的に日々の報告ができるようになりました。さらに、Comiruのコメント機能により、今まではなかなか直接やりとりをすることがなかった保護者の方から『○○さんの授業が良かった』などの賛辞や感謝コメントをいただくことでコーチ自身のやりがいにもつながっていきました。そしてこのやりがいは、コーチ同士でより良い報告書の書き方や活用方法などノウハウが話し合われるような切磋琢磨する関係を生み出しました。すると自然と報告書の質が向上し、結果、保護者の満足度も向上するという好循環を醸成することができました。

退塾数の減少と紹介増加による生徒数UPへ

 当塾では運営にあたり2つの指標を軸としています。一つ目は「生徒が楽しく通えているか」。二つ目は「成績が伸びているか」。導入当初は、「効率化」のためのツールと捉えていたComiruが、運営の根幹に関わるこの指標までを満足に叶えてくれるものだとは思ってもみませんでした。

 例えば、面談における場面。これまでは保護者への連絡が月に一回のみとなっていたため、面談はどうしても“振り返り”がメインとなっておりました。しかし、コミル導入後は日々双方向のコミュニケーションをとれるようになったことで、当塾が大切にしている『いまこどもたちがやるべきことは「未来への準備」』を体現するかのように、未来に向けた話をできるようになりました。その結果、生徒に楽しく通ってもらえることはもちろん、Comiruによって保護者の方へ成績UPをプロセスから日々可視化できたことで退塾数が減少。そして保護者の方からの紹介も増えました。こうして生徒数のUPへとつなげることができていると感じています。

目指すは地域No1の個別指導塾。Comiru活用で更なる生徒数UPへ

 私が勤務する膳所教室は、開校から6年で生徒数約100人規模の教室に成長しました。閉校する塾も少なくない中で、この結果は「成功」だと言ってよいでしょう。一番の理由は地元の中学校に根付き、定期テストの分析を徹底的に行った結果、多くの生徒の成績を上げることができました。そして高校受験に成功することで、「ゴールフリーが楽しかった」と思ってもらうことでき、高校に入学してもなお、本人の意思で通ってくれるようになりました。つまり、中学から高校への継続率を高められたのです。そして受験にも成功した後も、楽しく通っている姿を見ている保護者の方が、ごきょうだいの入塾にも踏み切ってくださいます。

 今後の目標は、入塾生全員が紹介や口コミだけで回るような地域で一番選ばれる個別指導塾にしていくこと。そのためにも、これからもComiruの活用が必要不可欠だと感じています。>

 

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魅力ある高等部づくりに必要な、10の秘訣

魅力ある高等部づくりに必要な、10の秘訣

著者の紹介

安多 秀司 (やすた・ひでし)

株式会社リアル・パートナーズ、株式会社個別教育フォレスト

ゴールフリー、スタンダードカンパニーを経て独立。個別教育フォレストを開校。個別指導歴17年。自塾を運営する傍ら、全国各地で個別指導塾の経営コンサルティングやセミナー登壇などにも精力的に取り組んでいる。

生徒の7割を占める高等部が作れた理由

今回は弊塾・個別教育フォレストの高等部のヒミツをお伝えしたいと思います!

まあ「ヒミツ」などと言うと、あやしい情報商材のようになってしまいますが、もちろんその類のものではありません(笑)。要は弊塾で大事にしているコツやポイント、取り組みの具体例です。ぜひヒントにしていただき、貴塾に応用してもらえたら嬉しいです。

さて弊塾は、さまざまな施策の甲斐もあり、生徒の約7割を高校生が占めています。また、そのうち約20人が高3生(受験生)です。ただ、弊塾はもともと高校生用だったわけではなく、中学生メインでスタートしていますし、今も中学生の指導にはきちんと力を入れています。あとから高等部を作ったのです。

 

魅力ある高等部づくりに必要な、10の秘訣

こうした環境を作れたのは、以下の10項目の特徴(弊塾で行ってきたことなど)が良かったのではないかと考えています。

1.高校生専用教室
2.一人1台! 専用自習机(高3)
3.一人1台! iPad提供(高3)
4.冷蔵庫完備
5.毎週の単語テスト&追試
6.課題の進捗、実名掲示
7.スケジュール管理の徹底
8.ルールの徹底
9.通塾日の徹底
10.夕食サービス

生徒さんが心地よく、かつ自分を律することができる環境づくりを
では、それぞれ解説してみますね。

 

10の秘訣を公開!1人1台ipadを支給!

【1】高校生専用教室
弊塾では、高校生しか入ることができない専用スペースがあります。面積は約15坪で、ところ狭しと自習机が計27台並んでいる状態です。「専用」と銘打っているだけあって、小・中学生はいっさい足を踏み入れることさえできない、特別な空間です。

なぜここまでするのかと言うと、とにかく集中して勉強してほしいから。大学受験という大きな山をまだ迎えていない小中学生が周りに賑やかにしていると、どうしても影響が出ますしね。

高校生にしてみれば「ここまでしてもらえている」という一種の優越感があるかもしれませんし、逆に言えば「それだけ集中して勉強しないといけない」と覚悟を決める空気づくりにもなります。また、小中学生に対しては、「自分も高校生になったら、ここまでしっかり勉強すべきなんだ!」という刺激に繋がっているはずです。

【2】一人1台! 専用自習机(高3)
高3生(受験生)には、一人1台の専用自習机が割り当てられています。専用ですので、机に自分の問題集や辞書、プリント等を置いておくことができます。学校に置き勉するのではなく、塾に置き勉してもらっている感じですね。

効率の面でも効果的ですが、上記の高校生専用教室同様、「ここまでしてくれている」という満足感にも繋がっているのではないかと思います。

【3】一人1台! iPad提供
高校生には、一人1台のiPadを貸し出しています。数年前までは一人1台のデスクトップPCというスタイルだったのですが、これをすべて処分し、iPad(タブレット端末)に変更しました。

デスクトップがダメなわけではありませんが、タブレット端末はあまり場所を取りませんし、持ち運びや携帯にも便利です。自分専用iPadですので、持ち帰りもOKとしています。また、生徒たちはPCよりも直感的に操作できるスマホやタブレットの扱いに慣れています。さまざまな学習効率を考えると、タブレット端末のほうが良いと判断しました。

生徒たちはこの環境を活かしてiPadで映像授業を視聴したり、Googleで検索したり、持ち帰って次週に使ったり、アプリで勉強したりと、幅広く活用しています。

Lightningケーブルも各机に設置しているので、個人のスマホを充電する生徒も多数いますが、まあそれくらいはおおめに見ます(笑)。

【4】冷蔵庫完備
特に暑くなってくるこの時期は、冷蔵庫が大活躍! 冷蔵庫といっても、家庭用の一般的な冷蔵庫ではなく、店舗などで見かけるガラス張りの業務用冷蔵庫です。一人1列割り当てられているので、飲み物を取り間違える心配もありません。お弁当や、ゼリーやチョコレートなどのおやつを入れている生徒さんもいます。

「たかが冷蔵庫」と思われるでしょうか? 「学業と関係ない!」と言われるかもしれませんね。確かに、冷蔵庫が勉強を教えてくれるわけではありませんし、冷蔵庫があるから学力が上がった、などということもないでしょう。あくまで、勉強への集中力や快適性を高めるためのサービスですね。「きみたちは勉強に集中してくれ。それ以外の環境はできるだけこちらでバックアップするから!」という発想です。教室への長時間滞在が増える高校生にとって、塾の居心地が少しでも良くなればと思っています。

【5】毎週の単語テスト&追試(高3)
高3生を対象に、英単語テスト、英熟語テスト、古文単語テストを毎週実施しています。ポイントは、毎週実施していること。単語や熟語への接触回数を少しでも増やして、慣れてもらうためです。やはり、毎日の継続こそ王道ですよね。

しかし、単にテスト行うだけだとルーチン化(作業化)してしまいがちです。刺激を与えるため、70点未満の場合は毎週日曜日に強制の追試があります。黙々と演習を続けたり暗記したりするだけでは、自分がどれだけ伸びたのか分かりにくいものですよね。達成感や満足感なく日々の勉強を続けていくには、相当の精神力が必要です。成果や自分の理解度をチェックできるリフレクションの機会がふんだんに作り、モチベーション維持に努めています。

【6】課題の進捗、実名掲示
こちらでカリキュラムや課題を設定し、それに対する生徒さんの進捗を教室内に実名掲示しています。実名なので、誰が進んでいるか遅れているかも一目瞭然。遅れている生徒さんには、私からの叱咤激励が飛びます。

生徒さんはどうしてもつい自分に甘えてしまったり、遅れが生じたりすることもあるものです。受験も待ってくれません。私たち大人がある程度の緊張感や客観性を持たせて、「勉強する空気」を作り出すことも大事ではないでしょうか。

もちろん生徒さんの自主性は大事です。強制力のみ、あるいは「怒られるから」といったネガティブな動機を原点に学ぶのは本筋からずれています。このあたりは改善の余地があるかもしれません。そこで今年(2020年)から、実験的に「やるかやらないかは自分で決める」という制度に、少しずつ移行しています。

実は、上記「5.<毎週の単語テスト&追試(高3)>」も、以前は選択の余地なく「義務」でした。これを生徒自身の判断に委ねたのです。結果は、全員が自分で「やる!」と決めてくれました。嬉しいですね!

【7】スケジュール管理の徹底
勉強の進捗管理のため、生徒さん一人ひとりに手帳を持ってもらい、週1回提出を課しています。手帳は教室長が直々チェックを入れ、カリキュラム通りのスケジュールで進んでいるかどうかを確認するのですが、予定通り進んでいないと、やはり私からの叱咤激励が飛びます(笑)。

ちなみに教室長は「叱咤激励」ではなく「激励」をしますので、優しめです。嫌われ役になるの私です……

【8】ルールの徹底
弊塾では、生徒さんの教室滞在時のルールを徹底しています。自習中にしゃべらないのはもちろん、途中で教室を抜けてコンビニに行くのも禁止、高3生は22時まで必ず塾で勉強するのも決まりです。

これも上記「6.<課題の進捗、実名掲示>」で触れた、教室の空気づくりのためですね。一人の緩みが、全体の意欲や緊張感を緩ませることもあります。学校で規則があるのと同様、塾でもルールを守るのは当然だ、と生徒さんたちには伝えています。

【9】通塾日の徹底
高3生(受験生)になると、通塾回数にもノルマが発生します。「4月:週3回」「5月・6月:週4回」「7月:週5回」です。週5回ということは、平日は毎日ということですね。

かなり厳しく見えるかもしれませんが、学校も週5回必ず登校しますよね? そう考えれば、さほど難しいことではないと思います。仮に塾に来ていなくても、受験生(しかも7月にもなって)なら、自宅で毎日勉強してほしいところ。それなら、塾に来て(気が緩まない環境に身を置いて)頑張ってもらおうということです。お金を頂戴して塾を運営している以上、求められる成果に応えるためには、厳しいと言われようとやるべきところはやるのが筋であり義務だと思います。

入会面談の際にも、このような通塾日の設定がある旨は伝えていますので、
大きなトラブルも起こっていません。もし、どうしても無理だという場合は、申し訳ないですが専用の自習机は貸し出さずに、受験の結果に対するリスクも伝えた上で、自宅で学習していただいています。これも、どうするかは生徒さん(各家庭)に委ねますが、「自宅で自習する」という選択をされたご家庭は1組のみでした。

【10】夕食サービス
高3生には夕食(軽食)として、パンを提供しています。生徒さんたちも自力で毎日買いに行くのは大変ですからね。実は、元塾生のお父さまがパン屋さんを営んでおられ、ありがたいことに毎日配達していただいているのです。

元塾生の保護者さんということもあり、「がんばっている子どもたちを応援したい!」というお気持ちでお届けいただいているので、こちらも胸が熱くなります。コンビニのおにぎりもいいですが、愛情たっぷりの焼きたてパンを毎日食べて、頑張って欲しいところです!

 

何が生徒さんにとってベストなのか、原点を忘れずに

いかがでしょうか。生徒のみんながどうやったら居心地よく、かつしっかり勉強してくれるか試行錯誤を続けた結果、年々、項目が増えていったという感じです。後から加えた最も大きな変更点は、「やるかやらないかは自分で決める」という制度ですが、結果としてその判断は間違っていなかったと、手ごたえを感じています。

一部に厳しい対応もいまだ残していますが、基本は「自分がされて嬉しいこと」を形にしてみた結果です。手法は変えても、その軸だけはぶらさずにいきたいと思いますし、それが認められ定着したからこそ、弊塾の高等部が地域に認知されているのだと思います。不易と流行を見極めながら、生徒さんのためになると信じたことを徹底してあげてくださいね。

 

 

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中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.4】

中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.4】
マーケティングの第一歩は教育理念の確立

著者の紹介

森 智勝

(もり・ともかつ)

塾生獲得実践会 全国学習塾援護会 主宰 

17年間の塾経営を経て、塾専門のマーケティング勉強会(塾生獲得実践会)を設立。机上の空論ではなく、現場主義を貫くマーケティング手法を全国の塾に提供している。経営コンサルタント、スタッフ研修等を専門に行っているが、特に不調塾の立て直しには定評がある。

自塾のポジションを決めるのは「判断」ではなく「決断」である

唐突ですが、判断と決断の違いをご存知でしょうか。判断とはどこかにある答えを探す行為のことです。例えば、「この行為が法に触れるかどうか」の答えは六法全書のどこかに書いてあります。それを探すのが判断です。ですから判断は専門家に任せても構いません。だれが探しても同じ答えに往き付くのですから。

それに対して決断は、「どこにもない答えを作っていく行為・覚悟」のことです。

あなたの前に二人の女性がいたとします。どちらの女性と結婚すれば幸せになれるか。そんなことは誰にも分かりません。「この人」と決めた女性と一生を賭けて「この人と結婚して良かった」という答えを作っていくしかないのです。それが決断です。

塾に限らず、ビジネスには唯一の解答などは存在しません。全てが決断です。また、教育の問題にも唯一の解答は存在しません。例えば塾の指導形態には集団指導、個別指導、自立学習指導とありますが、「どの指導形態が最も学習効果が高いか」に答えを出すことはできません。あえて言えば、生徒個人にとって効果的な指導形態があるのであって、全ての生徒に優位な指導形態などは存在しないのではないでしょうか。

それでもあなたは、今の指導形態が最も優れていると信じて、あるいは今の指導方法を最も得意としているから、その指導形態を選択しているのですよね。私はそれでいいと考えています。前回指摘したように、市場(見込み客)の20%にとって相応しい塾であることが大切です。「〇〇という希望には応えられないが、△△ならば自塾以外にはない」という主張が必要なのです。

自身が決断した「教育理念」に立ち返ること

同様に正解がないのが教育理念です。「学問を持って社会に貢献する人を創る」「勉強を通して真の生きる力を養成する」「子どもたちに無駄な勉強で遠回りさせない」…多くの塾が様々な理念を掲げています。それらに正否を問うことはできません。単なるスローガンで終わっている塾もありますが、地域に支持をされている塾には確固たる理念が存在しているものです。その理念がスタッフ全員のマインドに染み込み、塾の隅々まで行き渡っている…そんな塾が圧倒的な支持を得ているのです。なぜか。

「人はデジタルには感心するが感動はしない」という原則があるからです。

デジタル処理をされた乃木坂46の歌声は、音程も外しませんし、音もきれいです。もし、純粋に音楽を楽しむだけでしたらCDやiTunesが最適です。それでもファンはライブコンサートを欲します。ライブだと音程を外すこともあるでしょうし、声が掠れることもあるでしょう。しかしそれを凌駕する感動が、ライブには存在するからです。人が感動するのは常に、アナログに対してなのです。

塾も同じです。

たとえ優れたデジタル教材を導入し、優れた指導技術を提供しても、それだけで感動を創出することはできません。そこにアナログ、あなたの人間力が加わって初めて、人を感動させることができるのです。人は感動しなければ行動に移すことができない性質を持っています。

そのアナログ(人間力)の最たるものが教育理念です。繰り返しますが、教育理念に唯一の正解はありません。あなたの掲げた理念に20%の人が「そうですよね」と共感してくれることが重要です。(その意味で、表現力や説得力といった技術は必要です)

誰もが塾を始めた時には純粋な思い、理想があったはずです。それを研ぎ澄まし文章化したものが理念です。もう一度原点を思い出して、自塾の理念を明文化してください。そして、「理念に合うことは何でもする、理念に合わないことは一切しない」と決意することです。それで自塾の方向性が見えてきます。周りから「あの塾は〇〇な塾だ」という評判も作られます。

以前、「マーケティングは塾の良さを早く正確に伝える技術だ」と話しました。それは「あなたの理念を早く正確に伝える技術」でもあります。その伝えるべき理念が空文では意味がありません。ぜひ、明文化してください。アファメーション効果をご存知でしょうか。「文章にしたことは実現する」という現象のことです。実際、「東大合格!」と書いて壁に貼った生徒の方が合格率が高くなることが知られています。教育育理念も曖昧なままにしておくより、明文化することで実現に近づきます。

<バックナンバー>
中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.1】マーケティング力と商品力
中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.2】塾における商品とはなにか?
中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.3】セグメントの重要性

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【メディア掲載】EdTechZineに掲載されました

【メディア掲載】EdTechzineに掲載されました

2020/6/1

EdTechzineに「初めてのオンライン授業、どうする? 実践中の塾に訊いた課題と心構え」というテーマでComiruが掲載されました。

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【メディア掲載】産経新聞

【メディア掲載】産経新聞に掲載されました

2020/5/17

2020年5月17日付けの産経新聞(総合面)「学習塾、試行錯誤の再開」にPOPERが掲載されました。

 
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入会面談で勝負を決めるのは何!?【vol.2】

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入会面談で勝負を決めるのは何!?【vol.2】

著者の紹介

安多 秀司 (やすた・ひでし)

株式会社リアル・パートナーズ、株式会社個別教育フォレスト

ゴールフリー、スタンダードカンパニーを経て独立。個別教育フォレストを開校。個別指導歴17年。自塾を運営する傍ら、全国各地で個別指導塾の経営コンサルティングやセミナー登壇などにも精力的に取り組んでいる。

入会面談の成果を上げる要素は、訓練で取得できる。

前回の記事で、入会面談の肝となるのは「人」であること。加えてそのためには以下の要素を伸ばすことが必要だと述べました。

  1. コミュニケーション力がある
  2. 丁寧な面談をする
  3. 聴く力がある
  4. 共感する力がある
  5. 「目の前の生徒さんをどうにかしたい」という想いが保護者さんや生徒さんに伝わる

それでは、こうした「当たり前だけど大切な力」について、アドバイスをふまえて解説してみます。入会率に課題や不安のある方は、ぜひヒントになさってみてください!

 

コミュニケーション力がある

もはや説明不要の項目かもしれませんが、意外と「コミュニケーション力」と言われてもピンとこないかもしれません。抽象的で解釈が広くなりますしね。そこで面談という限られたケースに照らして一例を挙げると、キーワードは「笑い」でしょうか。

 

たとえば、面談に来る生徒さんや保護者さんは、基本的に緊張しています。「この塾はいい塾だろうか」「強引に入塾勧誘されないだろうか」「先生は誠実ないい人だろうか」と警戒もしているはずです。その緊張をほぐしていき、彼らと会話のキャッチボールがスムーズにできるようにしましょう。

そもそも、面談は尋問ではありませんし、塾長の講演会でもありません。自らの教育論や塾の理念を熱く伝えたい気持ちもあるかもしれませんが、どれだけいいことを言っていても、いきなりそんなにグイグイ来られては相手も引いてしまいます。ポイントは笑顔にさせることができるかどうかです。あなたの面談で、生徒さんや保護者さんは笑顔になっていますか? 彼らが安心できる、笑いの絶えない面談が理想です。まずはそこです。熱い思いは、入塾後にいくらでも伝える機会はありますよ。

 

丁寧な面談をする

これも当たり前の話ですが、生徒さんや保護者さんは私たちの教室に初めて来るのです。分からないことだらけです。そんな人たちに対して、自塾についてきちんと丁寧な説明ができていますか?

こちらは何十回・何百回と同じ説明をしているので、つい相手も知っている体で説明してしまいがちです。悪気はなく、ついそうなってしまうのです。たとえば「週2コマ」と言われても、一般の方には「コマ」という言葉が何のことか分からなかったりします。自分にとって当たり前すぎることでも、相手にとってはそうではないと自覚しましょう。

また、これもあまり意識していない方が多いのですが、話すスピードも大事です。まくしたてるように話していませんか? 自分で「ちょっとゆっくり話しすぎかな?」と思うぐらいが、相手にとってちょうどいいスピードです。こちらも意識してみてくださいね。一度、ご自身の面談を録音してみるといいですよ。ただし、こっそりやるのはよくないので、社員・講師を相手にロープレしてみて、それを録音するのもアリかもしれません。

これらは、講師(授業を受け持つとき)としても大切な感覚ですね。

いまいちど思い出してください。相手が(勉強を)分からないから、相手のレベルに合わせて分かるように教えるのが個別指導の本来の姿だったはずです。相手を自分に合わさせるのではなく、自分が相手に合わせるのです(なんでもかんでも甘やかせということではありませんが)。授業以前に、入塾説明の時点でそれができないような塾に、きちんとした授業ができると思ってもらえるでしょうか? 注意したいところですね。

 

聴く力がある

先ほども「面談は塾長の講演会ではない」と申しましたが、よくない面談の多くに見られるのが、「こちらがペラペラ話しすぎる」パターンです。そもそも、保護者さんや生徒さんは、勉強について何らかの悩みがあるから塾(の面談)に来ているわけですよね? 彼らは困っているんです。助けてほしいんです。その悩みを、自分の話を、聞いて欲しいのです。もっと言えば、「この塾なら解決できる」と安心させて欲しいのです。

自塾の話をする前に、まずは生徒さんや保護者さんの悩みを真摯に聴くようにしましょう。いわゆる「傾聴」ですね。イメージとしては、「8割聴く、2割話す」ぐらいでちょうどいいです。

悩みやニーズを把握できないまま話したところで、方向性がずれてしまいます。言いたいことと聞きたいことが噛み合ってないというのは、ストレスです。こうなると、相手は(そういうことが聞きたいんじゃないんだよなあ……)(もっとこっちの話を聞いて欲しいなあ……)(話が長いなあ……)と思っている可能性が高いですが、それを口には出してくれません。その場は大人の対応をしてくれますが、あとは黙って他塾さんを選ぶことでしょう。

方向性がずれたまま話をしていると、いかにその説明が正しく分かりやすいものでも、単なる塾の自慢話やセールストークにしか聞こえませんのでご注意を!

 

共感する力がある

これも聴く力に関連しているのですが、「そうなんですね」「なるほど」「それわかります!」と聞いた話に共感できることも非常に大切です。

とにかく良くないのが、ふたこと目にはやたらと逆説を使ったり反論したりすること。誰だって、自分の発言に対していちいち「いや」とか「でも」で返してくる人とは話したくなくなりますよね。

あと、反論しないまでも、相手が何か言うたびに自分の話(自塾の話)に転換して長々と話すのも良くないです。日常でもそういう人、いますよね(笑)。ちょっと「映画を観た」なんて言おうものなら、「そうなの? 私も映画が好きでね。月に2~3回は必ず何か見ます。過去最大の名作だと思うのは……」なんて具合に。

「聴いてもらえている」という感情が安心感を生み出すことを忘れないでください。

 

「目の前の生徒さんをどうにかしたい」という想いが保護者さんや生徒さんに伝わる

ここは少し特殊で、塾長や上司が「目の前の生徒さんをどうにかしたいと思え」と命令したところで、「はい、ではそうします」とはいかないものですよね。これは気持ちや信念の問題ですから、言われてどうこうできる問題ではないですしね。そもそも「目の前の生徒さんをどうにかしたい」と思えない人は塾に向いていないのかもしれませんが、もし後からでも変われるとしたら、以下の要素が大事だと思います。

  • 自分の仕事に誇りを持っているか
  • 給与=月謝であることを自覚しているか
  • 相手のために仕事をしているか
  • 生徒さんをお預かりしている責任を持っているか
  • たくさんある中から自塾を選んでいただいた責任を感じているか

これらを普段から自覚できていれば、それが具体的な態度や言葉になって、面談時の節々に少しずつ表れるはずです。取り繕えるものでも、取り繕うものでもありません。

いかがでしょうか? 面談したのに入会率が悪い・低いという場合、これらのどこかに原因があることが多いです。ぜひ、一度ご自身の面談を振り返ってみてください。先ほど録音の話をしましたが、一番いいのはご自分の面談の様子を録画してみることです。たぶん衝撃を受けますよ(笑)。思った以上に、イメージしていたのと違うものですから。

「生徒さんをどうにかしたい」という想いの部分はともかく、コミュニケーション力や聴く力、共感する力は、訓練すれば改善することができる要素です。ぜひ、意識して自身の能力と人的魅力を高めていきましょう。

 

 

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入会面談で勝負を決めるのは何!?【vol.1】

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入会面談で勝負を決めるのは何!?【vol.1】

著者の紹介

安多 秀司 (やすた・ひでし)

株式会社リアル・パートナーズ、株式会社個別教育フォレスト

ゴールフリー、スタンダードカンパニーを経て独立。個別教育フォレストを開校。個別指導歴17年。自塾を運営する傍ら、全国各地で個別指導塾の経営コンサルティングやセミナー登壇などにも精力的に取り組んでいる。

入会面談で勝負を決めるのは何!?

とにもかくにも、まずは「人」!

私は、入会面談で最もたいせつな要素は「面談する人(塾長や教室長)」だと考えています。何をおいても、まずはここです!

以前、塾を開業しようと考えておられる方からこんな相談を受けたことがありました。「大手フランチャイズ本部の担当者さんから『保護者さんは入塾を検討する際に必ず2~3塾は比較するので、塾の見た目も大事。そこにお金をかけたほうがいい』って言われたんですけど、そういうものなんですか?」と。

結論としては「資金に余裕があればそれもいいですけど、安い市販品で十分ですよ」とお伝えしました。まあ、「比較検討する」「見た目も大事」というのは間違いではないでしょう。内外装や机などの備品がオシャレであれば、それはそれで悪いことではないですしね。ただ、そこが最優先事項かといえばそうではないと思います。

最初に書かせていただいたように、一番重要なのは「面談する人(塾長や教室長)」だと思うからです。保護者さんや生徒さんが入塾の決め手にする要素の8割はここにあるといっても過言ではありません。あとの2割は体験授業や料金といったところでしょうか。「見た目」はそれ以降の話です。

 

「人」は掛け算の基本となるようなもの

なぜ塾に通うのか、なぜ通わせたいのか考えてみれば当たり前のことなのですが、生徒たちは「勉強」しにきているわけです。そして、それを担うのは人間(塾長・教室長・講師)です。人間が信用に足らなければ、安心して我が子を預けられません。

もちろん、教室が散らかりっぱなしとか、清潔感がないとか、そういうのは良くないですが、最低限のことさえできていれば少なくともそれが「入塾しない」という理由にはなりません。

掛け算で考えてみるといいと思います。どれだけ教室がキレイでも、料金が安くても、基本となる「人」の評価が低ければどうでしょう? ましてやもしゼロならば、ゼロにいくら掛けてもゼロです。それくらいの心構えでちょうどいいと思います。

自慢話のようになってしまい恐縮ですが、弊塾の教室長は、面談すれば90%以上の確率で入会にいたります。弊塾の地元地域は競合他塾さんも多く、ガンガンに比較検討していただいた上でこの結果ですから、頼もしいかぎりです。もちろん、むりやり入塾させることも一切ありません。「しっかりご検討いただいて、もし入塾をご希望されるようでしたら、お電話ください」と、完全に相手へボールを渡してしまうスタイルです。

こんなことを言うと、メンタリストばりの心理テクニックを用いて水面下で計算しつくされた駆け引きをしているとか、とんでもない営業のスーパースキルを駆使しているとか思われるかもしれませんが、そんなことはありません。教室長は普通の人間です。

ではどこに秘密があるのでしょう? いや、秘密なんかじゃないですね。「個別指導塾としてなすべきことをきちんとやっている(分かっている)」ことに尽きると思います。思いつくまま挙げると、こんな感じです。

  1. コミュニケーション力がある
  2. 丁寧な面談をする
  3. 聴く力がある
  4. 共感する力がある
  5. 「目の前の生徒さんをどうにかしたい」という想いが保護者さんや生徒さんに伝わる

ポイントは上記ほとんどの要素が、訓練で解決できるという点です。

次回のエントリーでは具体的に各要素の伸ばし方に触れたいと思います。

 

 

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中小・個人塾のためのマーケティング講座

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中小・個人塾のためのマーケティング講座【vol.2】

著者の紹介

森 智勝

(もり・ともかつ)

塾生獲得実践会 全国学習塾援護会 主宰 

17年間の塾経営を経て、塾専門のマーケティング勉強会(塾生獲得実践会)を設立。机上の空論ではなく、現場主義を貫くマーケティング手法を全国の塾に提供している。経営コンサルタント、スタッフ研修等を専門に行っているが、特に不調塾の立て直しには定評がある。

 

なぜ「今」マーケティングが求められるか?

前回の記事で、「商品力とマーケティングは車の両輪だ」とお話しました。なぜ、そんなにマーケティングが必要なのでしょうか。高度経済成長時代、塾業界の市場が拡大発展している時代は良かったのです。売り手市場ですから、「近くに塾ができた」というだけで生徒が集まってきます。教室を開いてチラシを撒けば、すぐに20人、30人の塾生が獲得できました。また、例えば年に10%の成長をしている時代ならば、去年と同じことをしていても、生徒数・売上は10%UPします。ところが今は縮小均衡時代です。「チラシを1万枚撒いても問い合わせ0件」ということも珍しくありません。去年と同じことをしていたら、確実に生徒数・売上が10%DOWNしてしまいます。

縮小均衡市場は、言い換えれば買い手市場です。主導権は買い手の手に握られています。ほとんどの地域では、通塾可能圏内に10や20の塾が存在しています。車送迎が主流の地域では、もっと多くの塾が視野に入ることでしょう。買い手市場ですから消費者(生徒&保護者)は、その多くの塾の中から自分(我が子)に最も相応しい塾を選択しようとします。「近い」がそんなに重要な選択理由ではなくなってくるのです。勢い、その地域で最も評価(評判)の高い塾に生徒が集中するという現象が生じます。市場の寡占化は、拡大発展時代ではなく縮小均衡時代に起こりやすいのです。

だからこそマーケティングが必要です。「良い授業をしていれば、自然と評判になって生徒が集まってくる」のは拡大発展時代の特徴であり、縮小均衡時代の今では通用しません。店(塾)が積極的に塾の良さをアピールしなければ、評判は作られないのです。

 

市場に支持される商品が必要

前回、「マーケティングは商品の良さを早く正確に伝える技術だ」と定義しました。では、塾経営における商品力、つまり授業の良さとは何でしょう。多くの塾人が「説明がわかりやすいこと」を挙げます。もちろん、間違ってはいません。しかしそれは、必要条件であって十分条件ではありません。我々はビジネスとして塾経営をしています。どれだけ解りやすい授業をしていても、生徒が集まらなければ意味がありません。つまり、生徒に支持されない授業(塾)は失格だということです。

もう少し具体的に言えば、どれだけ解りやすい説明でも、生徒が苦痛を感じる授業は商品として失格なのです。生徒が時間が経つことだけを待つような授業、親に促され嫌々通う塾では、良い評判は絶対に作れません。ベテランの塾人からは、「多少の苦痛があったとしても、子どもたちの成長のためには必要なことだ」と言われそうですが、その主張も市場の支持を得て初めて意味を為します。そうでなければ、それは単なる独りよがりです。ぜひ、生徒に支持される授業を構築してください。

 

利益「か」使命か?

さて、論に入る前にもう一つ、クリアしなければならない障壁があります。それは、塾経営者のマインドです。特にベテランの塾人に多いのですが、どこか塾というビジネスに対する後ろめたさを抱えているのです。「教育を金儲けの道具にするなんて…」「子どもを金儲けの手段にするなんて…」という思いです。それは、教育と経営が二律背反だという間違った認識から生じています。

確かにボランティア…例えば自宅や公民館を借りて、無償で学習指導をしている人は貴いと思います。素晴らしい行為です。しかし、そこで提供されている学習指導と、月に2万円を頂いて提供されている「あなたの塾の学習指導」と、どちらが生徒にとって有益か…私は断言します。圧倒的に後者です。なぜなら、そうでなければとっくに、あなたの塾は潰れてしまっているはずだからです。私はボランティアの意義を否定するものではありません。しかし、世の中の進歩を促してきたのは常にビジネスです。交通業界でも流通・小売り業界でも医療でも。全ての分野の進歩はビジネスによってもたらされてきました。教育も例外ではありません。我々業界人が2万円に適う、いえ、それを超える教育サービスを創り出し、それぞれの塾が切磋琢磨しながら競い合うことで、より良い学習環境を子どもたちに提供する。それが塾人としての社会貢献です。教育と経営は二律背反ではなく、表裏一体のものです。

 

今求められるマーケティング手法

前提説明が長くなり、紙面が尽きてしまいました。次回から、いよいよマーケティングの具体的説明に入ります。私が提唱するのはマスマーケティングではなくワンツーワンマーケティングとエモーショナルマーケティングです。ワンツーワンマーケティングとは簡単に言うと、「みなさん」ではなく「あなた」を対象としたマーケティング法のことです。「みなさん」と呼び掛けられると、人は誰でも自分のことではなく、他人のことだと認識してしまいます。校長先生が朝礼台の上から「みなさん、廊下は走らないようにしましょう」と訓示しても、誰も聞いていないですよね。エモーショナルマーケティングとは、人の感情にフォーカスしたマーケティング法のことです。言い方を変えれば、相手の立場に立って考えるマーケティングです。次回もよろしくお付き合いください。